第3 犯行に至る経緯
①捜査の端緒
田渕検事が取り調べを担当した業務上横領事件についてお話しします。
捜査の発端は、学校法人明浄学院における1億円の使途不明金でした。2019年6月頃、大阪地検特捜部の検事が主任検事となって捜査が始まりました。捜査の中で、明浄学院をめぐる不透明な多額の資金移動が発覚しました。
明浄学院の元理事長が、個人的な借入れ金の返済のため、明浄学院所有の土地の売却代金を第三者の口座に送金したという業務上横領の疑いが生じたのです。
業務上横領被疑事件について、関係先の捜索差押に向けた着手報告が作成されました。その時点で、被疑者は元理事長を含めて4名でした。
ただ、特捜部のなかでは、株式会社プレサンスの社長であった山岸忍さんが業務上横領事件に関与しているのではないかとの疑いが生じていました。山岸さんが、個人資産から明浄学院の買収資金として18億円を元理事長に提供し、その後、その18億円が山岸さんに返済されていたからです。
関係先の捜索及び任意聴取の結果を踏まえて、山岸さんの共犯性が検討されることになりました。
10月29日の強制捜査の前に、応援検事が捜査に加わりました。その一人が、田渕検事でした。
主任検事は、強制捜査前日である10月28日、田渕検事ら応援検事に、事案の時系列や記録に目を通すようにメールで指示しました。その時点で、田渕検事を含む応援検事は、主任検事が想定する事案の見立てを認識しました。
10月29日及び30日に、関係先に対する捜索差押え(1回目)が実施されました。














