小学校1年生になった妹が聞いた「私と将くん、どっちが死んだら良かった?」

 そんな高井さんをハッとさせる出来事が起こります。それは小学校1年生になった優さんが投げかけたこんな質問でした。

 (高井千珠さん)
 「『私と将くん、どっちが死んだら良かった?』って言われたんですけど。1年生の子がそんなふうに思っていたんだと思ってまず動揺して。でもそれを顔に出しちゃいけないと思って、結局『どっちも死んでほしくなかったよ』って本当に思っていることなのでそういうふうに言ったんですけど」

 亡くなった将くんを思い続けることで優さんを傷つけていたのではないか。高井さんはこの20年、優さんの真意が気になっていました。

 現在29歳になった優さん。「私と将くん、どっちが死んだら良かった?」。なぜ、この質問をしたのか聞いてみました。

 (高井優さん)
 「私が小学校低学年くらいのころまでは、けっこう将くんのご飯を用意したりということも多くて、将くんが生活の中にたくさんいることが多かったので、やっぱり子どもながらにいろいろ気になっていたのかなと思います。でも愛されていないとかっていうのはなくて。あんまり覚えていないんですけど、何が不安やったんかな。…不安だったんでしょうね。漠然とした不安があったんだと思います」

 高井さんが優さんの気持ちを気にしていることについては。

 (高井優さん)
 「この前聞かされて、初めて気にしていることを知ったくらいなので。全然気にしなくていいかなと思います。将くんが死んだときの母の年齢に近づいてきたというのもあると思うんですけど、子どもが死んだときの気持ちがちょっと、わからないけど、昔よりは何となくわかるかなと思います」