生成AIによる「もっともらしい誤情報」

今後は、生成AIによる「もっともらしい誤情報」も無視できない。2025年12月8日に青森県東方沖で発生した地震で、新聞記者がGoogleで「最新の津波情報について教えて」と検索したところ、「AIによる概要」は、津波警報が発表中にもかかわらず「解除されている」と誤って表示した。同様の検索でも、誤った回答が繰り返し示された。

AI検索やAI要約は便利だが、災害情報のように時々刻々と変化し、生命に直結する領域では、古い情報や推測に基づく誤要約が重大なリスクになる。

生成AIは自然で説得力のある文章を作れるが、それは正確さを保証しない。災害時には、AIの回答を最終判断にせず、政府、自治体、テレビ・ラジオ、新聞社など、責任ある発信主体の一次情報・確認情報に戻る必要がある。

デマには3つの発生源がある

「デマ」には、いくつかの種類がある。悪意をもって意図的につくられる「狭い意味でのデマ」「偽情報」と、悪意や意図がなく根拠が不確かなまま広がる「流言」「誤情報」である。日本では、日常的には両者をまとめて「デマ」と呼ぶことが多い。本稿でも、流言などもまとめて広い意味での「デマ」を考える。

災害時のデマの発生源は、大きく3つある(図1)。

第1に、愉快犯や他者攻撃を目的にねつ造されるもの。2016年熊本地震で「動物園からライオンが逃げた」という偽画像付き投稿が広がった事例は、その典型である。

第2に、表示数・再生数による収益を目的とする「インプ稼ぎ」「インプレゾンビ」である。

第3に、悪意はなく、あいまいな状況を理解したい、不安を減らしたい、周囲に知らせたいという欲求から生じるもの。実は、ここが最も厄介である。

アメリカの心理学者のオールポートとポストマンは、デマの拡散の早さを「重要さ」と「あいまいさ」の積で説明した。災害時の情報は、人命や生活に関わるものが多いため重要さが高く、全体像の把握に時間がかかるためあいまいさも高い。

これらを考えると、災害時にデマが広がるのは「例外的な出来事」ではない。むしろ「必ず発生する出来事」と考えて備えるべきである。