被害者が経験する「非日常」
犯罪被害者の苦しみは、身体や精神の不調にとどまりません。事件直後から被害者が否応なしに直面する、警察捜査や裁判、損害賠償といった「法律」の世界です。伊東さんは被害者支援で見過ごされがちな現実について語ります。
(伊東秀彦さん)
「事案によっては、報道やSNSに巻き込まれます。当然マスコミからのインタビューに対する対応というのは、普通の人は分からない訳で、ただ突然言われて、突然発したことで、なぜかそれで世の中から叩かれるということもあります」
「自宅に(人が)押し寄せることもあります、葬儀場にマスコミが来ることもある。SNSにおいて、なぜか被害者の方が槍玉に上がるということも、昨今は少なくありません」
「生活面のほか、被害者は望む望まないに関わらず、突然警察の捜査だったり裁判・損害賠償といった刑法だったり、刑事訴訟法・民法などが規律する法律の世界に放り込まれることになります」
難解な法律の分野だけでなく、被害者になることで収入が途絶える、といった生活面のほか、精神面での不調など様々な危機や異常事態に直面します。
伊東さんは、当事者を支えるためには、行政や専門家とあわせて、周囲にいる人たちの支えが大切だと訴えます。
(伊東秀彦さん)
「犯罪被害者というのは、異常事態に巻き込まれて様々な不調が生じるところですが、こういった状況に鑑みると、『支援の必要性がある』ことは明らかかと思います。急遽、社会的弱者の立場に追い込まれたと言えると思います」
「確かに、こういった被害者に対して責任を果たすべきなのは加害者です。ただし加害者というのはまさに犯罪の当事者でして、被害者にとって二度と顔を見たくない、接触があるとかえって不調が深まるといった危険があり、肉体的な苦痛や精神的な苦痛、あるいは経済的な苦痛も含めて加害者が癒す、というのは基本的に不可能です」
「せめて十分かどうかはともかく、賠償責任は果たしてほしいというところもありますが、加害者には財産的な資力がないことは少なくなく、また犯罪が重ければ重いほど刑務所に行く実刑になる可能性が高まって、実刑になると、ますます賠償責任が果たされにくくなる、というジレンマもあります」
(伊東秀彦さん)
「こうした中で、国や地域社会が犯罪被害者を放置すると、被害者が孤立を極めて再起が難しくなるケースもございます。ある日突然傷を受けた犯罪被害者が、救済されないのはあまりに理不尽ですので、そういった対応のためには法律的な制度、あるいは周囲の理解による適切な支援が必要です」
「犯罪被害者支援を担う機関だったり、担うべき関係者というのは国だったり、地方公共団体、警察、弁護士会、支援団体、心理士、医療機関、様々な機関が考えられますが、専門機関だけではなくって、一人ひとりの県民、市民の理解も重要になります」














