兄を殺害した男には「死刑判決」も…
伊東さんは、兄を殺害した男の裁判について話を続けます。日本の司法制度とは異なる「陪審員」による裁判で、伊東さんにとっては映画の世界でしか見たことのない光景に戸惑いました。さらには、言葉の違いなど様々な困難にも直面しました。
(伊東秀彦さん)
「犯人は、比較的すぐに逮捕されました。その後の裁判はアメリカで行われました。陪審員による裁判です。今でこそ日本でも裁判員裁判が施行されてもうかなり経っていますけれども、この90年代当時は日本は裁判員というものがなくて、民間の方が入る陪審員の裁判っていうのは、私も映画の中でしか見たことがありませんでした」
「法律のことも英語のことも分からない私たちは、裁判のことを理解するのに大変苦労しまして、主にこの点は外務省の方に協力してもらって現地とやり取りをしていました」
「この犯人、被告人というのは、兄の事件の後、収容施設の係の人間を殺害したということもあり、本件事件から2年余り経った1996年の7月にアメリカの裁判で死刑判決が出ました」
兄の命を奪った犯人に下された、“死刑判決”。遺族は少しずつ日常を取り戻そうと歩みを進めてきました。
しかし、アメリカの法制度は、計り知れない長大な時間と複雑な手続きを抱えていました。墓前で兄に「裁判は終わったよ」と報告し続けていた家族を待ち受けていたのは、予期せぬ裁判の継続でした。
(伊東秀彦さん)
「私たち家族としては、この1996年の判決で裁判は終わったものだと思っていましたが、平成17年(2005年)に私が弁護士になったこともあり、その死刑判決を受けた後の執行状況を確認しようと外務省に問い合わせたところ、外務省の方が折り返しの連絡で慌てたような感じで『実は裁判が続いている』という回答がありました」
「大変驚きまして、いろいろ確認しますと、カリフォルニア州では一審判決で死刑判決が出た場合には、被告人が希望する・希望しないに関わらず、自動的に高等裁判所に移るという制度であるようでした」
「また、アメリカの様々な事情で『裁判に非常に時間がかかる』とか『特に死刑判決に関しては、いろんな考え方もあって、それもあって裁判がとっても伸びてる』という説明を受けました」
「私たち家族は、実は裁判が続いていたということに本当に驚きまして、それまで墓前では裁判が終わったことを前提に兄には話をしていたので、なんだか申し訳ない気持ちになりました」














