2022年12月、東京消防庁の救急車が横転する事故が起こりました。原因は隊員の“居眠り”とみられていますが、事故直前まで長時間ほぼ休みなしで働いていたそうです。
一方、横浜市にある病院は救急搬送の要請のうち、約半数を受け入れできない状態に・・・。第8波でひっ迫する医療現場を取材しました。

助手席にいた救急隊員も居眠り 「今回の事故は起こるべくして起きた」

中央分離帯で横転しているのは東京消防庁の救急車。フロントガラスが割れ、バンパーも大破しています。事故は2022年12月29日に東京・昭島市で発生。乗っていたのは救急隊員3人で、幸い全員軽傷でしたが、“ひと安心”と言う訳にはいきません。

というのも、隊員3人は事故前日の朝に出勤してから17時間ほぼ休みなしで、7件の搬送を担当していたのです。

事故の原因は居眠り。捜査関係者などによると、ドライブレコーダーには運転席だけでなく助手席の救急隊員まで居眠りする姿が映っていたといいます。

東京消防庁の“ある救急隊員”は…

「救急車の出動率は常にほぼ100%で、トイレに行く時間もなく現場は疲弊している」
「交通事故は他人事ではない。今回の事故は起こるべくして起こった

救急搬送“半数”受け入れできず ほぼ満床の病院

喜入友浩キャスター
「救急車の姿が見えました。コロナの疑いがある患者が運ばれてきます」

横浜市にある横浜労災病院。2022年12月から新型コロナなどによる救急搬送が急増しています。

こちらの女性は、1月16日の朝、職場で突然倒れたといいます。

37.5℃と発熱の症状もあり、新型コロナの感染を疑いながらの診察に…

この病院に運び込まれるまで、あちこちの病院で受け入れを断られたといいます。

医師「うちの病院で何件目ですか?」
救急隊員「3件目になります」
医師「2つは断られちゃいましたか」
救急隊員「1つは熱があってダメで、もう1つは救急が立て込んでいるということで断られました」
医師「きょうは厳しいですか?」
救急隊員「そうですね」
医師「結構断られている?」
救急隊員「そうですね」

横浜労災病院では、新型コロナの患者向けの病床を22床確保しています。ただ、ほぼ満床の状態が続いていて、救急の受け入れ要請を約半数、断っているといいます。

喜入キャスター
「断らざるを得ない状況についてどう思いますか?」

横浜労災病院救命救急センター 中森知毅センター長
「非常に皆さんには申し訳ないと思いますし、そして、お断るする側も『本当に辛いな』と救急医たちも言いながらお断りをしていて、つまりみんなが辛い状況でお断りせざるを得ない。つまり逼迫ということなんだなと思います」

1月16日、確認された全国の新型コロナの感染者数は5万4378人。5日連続で前の同じ曜日を下回っています。

ただ、神奈川県では病床の使用率が約80%と全国でも高い水準となっています。

中森センター長
「新規感染者数というもので見れば、ピークアウトしたように見えますけども、医療機関にかかる負担は、もう少し先にならないと気が抜ける状況ではないだろうと思っています」