相互免除の不均衡と、広がる「疑念」
ビザの免除措置は、その国の国際的信頼度だけでなく、二国間関係を映し出します。日本のパスポート所持者は現在、短期滞在であればビザなしで中国を訪問できます。一方、中国人は日本を訪れる際にビザが必要です。日中間で相互免除が実施されておらず、中国側にはこれが不公平に映るわけです。
かつて政府間の協議が行われていた昨年まで、中国は日本に対してビザ発給の条件緩和(手続きの簡素化など)を繰り返し求めてきました。いきなりノービザを要求しなかったのは、大国の自尊心がそのような交渉に仕向けたとも言えるでしょう。
中国政府が「日本は危険だ」と渡航自粛を呼びかけ、関係が冷え込んでいる今となっては、ビザ手数料値上げの実質的な影響は限定的かもしれません。しかし中国側には、「高市政権の一連の対中姿勢が今回の措置に仕向けた」という懐疑的な見方も生まれています。
訪日旅行客だけではありません。日本政府は昨年10月、外国人が日本で起業する際の「経営・管理ビザ」の許可・更新基準を大幅に厳格化しました。必要な資本金要件を500万円以上から3000万円以上(こちらは6倍アップ)に引き上げ、常勤で日本人や永住者を雇用することも義務付けました。日本で暮らす外国人の在留資格を厳しく制限する方向に舵を切ったのです。すでに在留期間の更新が認められず、帰国を余儀なくされた外国人家族も出ています。
昨年末現在、日本国内の在留外国人は412万5395人。国・地域別のトップは中国で93万428人と、前年比で5万7142人増えています。「日本が採る一連の外国人政策は、どの国をターゲットにしているのか」――そんな疑念が今、中国で広がっているのです。
◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める。














