「爆買い」から「日本らしさ」へ、そして広がる風潮
ビザが必要な国でも、人数で圧倒的に多かったのが中国本土からの訪日観光客です。日中関係の悪化によって、中国政府は自国民に日本渡航を自粛するよう繰り返し求めています。ただ、それでも日本を旅する個人の中国人インバウンドは少なくありません。
そういう中国人、とりわけ富裕層と言われる人たちにとって、ビザの発行手数料が一気に5倍になっても、懐が痛いとは感じないでしょう。ただ、一方で、額にして5倍の引き上げ幅以上の障壁、新たな障壁が日中間で生まれていないか、気になります。
もちろん、今回のビザ手数料の大幅値上げは、特定の国を名指しした措置ではありません。ですが、中国側には「なぜ世界第二位の経済大国・中国の国民が……」という不満がくすぶっていました。そんなくすぶる不満に、今回の日本政府の措置は、油を注ぐ結果を招かないでしょうか。
電化製品に、化粧品といったメイド・イン・ジャパンを大量に買い込み、“爆買い”と呼ばれた中国人買い物ツアーの波は、すでに過ぎました。その後、彼らは自分たちの国と違う、いわば“日本らしさ”を求め、この国を目指すケースも増えました。それはグルメや景観だけではありません。表現しにくいですが、“しっとり”とした空気と言うべきものです。
ただ、やって来る人数の多さもあってか、日本国内で「中国人インバウンドこそ、オーバーツーリズムの元凶」と決めつける風潮が広がったのは否定できません。そのうえ、国際社会、とりわけアジアでの中国の振る舞いや、日本への姿勢などなど、日本人が抱く今日の対中感情もそこに重なったといえます。














