村おこしに惹かれて移住してきた若者も
こうした豊根村の村おこしに惹かれ、移住してきた若者もいます。

名古屋市出身の小早川武史さん(24)は、2019年から地域おこし協力隊として、熊谷さんのもとでチョウザメを養殖。2022年3月で地域おこし協力隊の活動は終わりましたが、村に残って養殖を続けることに決めました。
現在、独り立ちして2000匹あまりを育てています。チョウザメに惹かれた理由を聞いてみると、
(小早川さん)
「三大珍味と聞いてパッと浮かんだのがチョウザメでした。元々魚が好きなので、自分の好きなことを仕事にして地元の愛知県を盛り上げることができればと思っています」
一般企業への就職を考えていた時期もありましたが、豊根村の移住促進イベントでチョウザメのことを知って「地元・愛知の魅力を発信したい!」と移住を決めました。
確立されていないチョウザメの養殖法
チョウザメの飼育法はまだ確立されていません。飼育を始めて3年以上が経つ小早川さんでも、まだまだ1人ではできない作業があります。
チョウザメは2~3年経つと、腹を切って卵巣の有無を確認しますが、小早川さんは性別を見分ける自信がありません。
(熊谷さん)
「小早川に信頼が置けたらいいけど、そんなに甘い世界ではない。1匹見誤ったら損害が30万円の世界」
しかし、小早川さんが村に残ることを決めた時、一番喜んでくれたのも熊谷さんでした。
10年水を止めずに養殖してきたからこそ、キャビアができたと自負しています。

実は、熊谷さんの育てたチョウザメが2021年春にはキャビアが採れるまでに育っていました。
しかし、新型コロナ感染拡大の影響でお披露目が延期。出荷も諦めざるを得ませんでした。
熊谷さんも「キャビアは高級食材なので、景気の悪い時に売り出したくない」と考えており、ようやく2022年春にお披露目を迎えることができたのです。