年末にドタバタと決まった「安全保障の大転換」。そんな日本の防衛強化にアメリカが「強い支持」、さらに「敵基地攻撃」も「協力深化」と、日米安保はここへきて大きく動き出しました。一方で、「防衛増税」に向けた動きも始まっています。何が起きているのか。これから何が起きるのか。安全保障の裏側を知る石破茂元自民党幹事長が縦横無尽に語ります。
(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)

■菅元総理が“異例の苦言” 「至極真っ当なこと」
ーー菅元総理の発言が話題になっています。「総理大臣は国民全体の先頭に立って汗をかく立場。歴代の総理の多くは、所属する派閥を出て務めていたのではないか」と、岸田総理が派閥会長を続けていることに苦言、ということですが。

石破元幹事長:
至極真っ当なことをおっしゃっておられると思いますよ。谷垣さんのときなんかそうだったけど、総裁もそうだし、総理じゃなかったけどね、もう党の三役ってみんな派閥離れましたからね。私、政調会長でしたけど。そういうものなんだということだったんだけど、いつしかそれがなし崩しというのか、そういうことになっちゃったと。世耕さんが言うように、岸田さんは派閥色をすごく出したかどうかは別の問題として、やっぱり形式として、派閥を離れるっていうのは一つの自民党の良識みたいなものじゃなかったかなと。だから、総理は派閥単位で物事をやっておられると私は思わないが、やっぱり形式的にもそういうふうにした方がより良いかもしれません。
ーー岸田さんは派閥の会合にも出たり、かなり派閥を意識した動きをなさるんですよね。菅さんは派閥の弊害という点も指摘しているんですが「政治家は国民の負託を受けて出てきているので、自らの理念や政策よりも派閥の意向を優先するようなことはすべきでない。今、国民の声が政治に届きにくくなっている」と。
石破元幹事長:
そういう面は否めないんでしょう。それ(組織内に派閥ができること)はもう人間の性みたいなもんだからしょうがないんだけれども、ただ政治・政党の場合には、やっぱり派閥は本来政策集団だから、政策の錬磨っていうのは必要なんでしょう。
もう一つは、党全体が議員1人1人の……教育っていう言葉を使っていいかどうかわからないけど、有権者との接し方とかね、政治家本来かくあるべしとかそういうのは教える、そういう機能を持っていたわけですよね。だから政策をきちんと勉強しましょう。そして、議員として有権者の方々にきちんと接しましょうと、そういうような機能がさらに発揮されれば、派閥批判ってのは薄らぐんじゃないかと思うけど、そういうのは一体どこ行っちゃったのっていう思いを持っておられる方もあるんでしょうね。