去年7月に奈良市で安倍晋三元総理が演説中に銃撃された事件。1月13日、奈良地検は山上徹也容疑者(42)を殺人と銃刀法違反の罪で起訴した。山上被告は犯行動機として「旧統一教会への恨み」を語っている。取材班は約半年にわたって「旧統一教会の献金の実態」を取材。なぜ山上被告は犯行に及んだのか、その背景に迫った。

山上被告『旧統一教会を恨んでいる』…母親は「1億円超を献金」

 1月10日、山上徹也被告が精神鑑定を終えて5か月半ぶりに姿を見せた。わずかな時間だったが、見た目からは特に変わった様子はないように見受けられた。
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 一体なぜ、あの日、犯行に及んだのか。取材班は半年にわたって取材を続けてきた。

 2022年7月8日、多くの支援者らが集まる中、安倍晋三元総理が演説を行っていた。その時…2回の爆音が鳴り響き、安倍元総理はその場に倒れた。

 山上被告が警察に犯行動機として語ったのは「旧統一教会への恨み」だった。

 (山上徹也被告)
 「母が旧統一教会に多額の献金をし、お金がなかった。難病の兄が十分な治療を受けられず、苦しんで自殺した。私も大学に行くことができなかった。旧統一教会を恨んでいる」

 旧統一教会と安倍元総理に強いつながりがあると考え、犯行に及んだとみられている。取材によると、山上被告が11歳のころ、1991年に母親が旧統一教会に入会している。
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 当時について、山上被告の伯父は次のように話した。

 (山上徹也被告の伯父)
 「入会動機ですね。昭和59年末(1984年)に夫が自殺しているんですよね。長男は抗がん剤投与によって右目を失明しているんですよ。そのころは母親がフラフラだったんですよ」
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 母親はどのようにして教団にのめり込んでいったのか。入会して数年が経った時のことを大学時代の知人が記憶していた。

 (母親の大学の友人)
 「夫が自殺して家庭がとっても苦しかったけれど、宗教で救われたと。初めてその宗教のビデオを見て涙が止まらなかったと。『やめたほうがいいんじゃない』という話をしたと思うんですよ。でも彼女は心酔しきっていた」

 母親は奈良の教区に所属。献金は総額1億円を超え、山上被告が21歳のころ、2002年に自己破産した。