総理の情報発信についてです。SNS全盛の今、歴代総理と比べて高市総理の発信の仕方が大きく変化しています。

■総理の情報発信の目的と、「会見」「囲み取材」の違いは?

高柳光希キャスター:
政府からの情報発信には、▼政府の重要政策の説明や▼国民の疑問などに答える報道対応 があります。

例えば、過去には新型コロナウイルスの感染拡大を受け、総理の言葉で緊急事態宣言を発令することもありました。

取材の場としては、主に「会見」と「囲み取材」の二つがあります。

【総理の主な取材の場】
▼会見:内閣発足や国会閉会など節目のタイミング
▼囲み取材:政治課題や内外情勢などにタイムリーに応じる場

高市総理の取材対応については、どのような印象ですか?

■歴代総理と何が違う?高市総理の取材対応が少ないワケ

TBS報道局政治部 野口隼平 記者:
総理が就任した2025年10月からの半年で報道対応の数を数えてみましたが、会見が7回、囲み取材が35回でした。

前段として、2026年2月に衆議院解散を行ったため、総理大臣としての実質的な活動期間は1か月弱です。また、自民党総裁としての活動が中心であったという側面もあり、このような数となりました。

【就任半年 報道対応の場は】
▼高市総理:会見7回、囲み取材35回(2025年10月~)
▼石破前総理:会見8回、囲み取材70回(2024年10月~)
▼岸田元総理:会見11回、囲み取材103回(2021年10月~) 

石破前総理、岸田元総理と比較すると、会見の数は大差ありませんが、囲み取材については数の差が出ています。

石破前総理が就任した当時は「政治とカネの問題」について野党からの追及が激しい渦中での就任だったため、関連の取材対応が多かったという点もあります。

また岸田元総理は、就任してから様々な現場で声を集める「車座対話」を精力的に行っていたため、車座対話後に記者団の取材に答えていました。

数を見ると、高市総理の対応の少なさが目立ちますが、自身も「働いて働いて働いて参ります」と発言している通り、スケジュールは分刻みで非常に忙しいです。私もそばで見ていてそう感じます。

そのため、取材対応についても日程が詰まっている中で時間制限があるのではないかと考えます。

高柳キャスター:
その時の情勢によって取材に対応できる回数も変わってくるため、一概に比較できる数字ではないのかもしれません。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
私はこれまで、中曽根総理から今まで延べ23人の総理を取材してきました。

それら歴代の総理と比べると、高市総理は「メディアの後ろに国民がいるのだから、メディアを通じてきちんと説明しなくてはならない」という政治家としての意識が少し薄いのではないかと思います。

また、高市総理は外交安全保障や財政などの基本的な政策について、若干自信がない様子も見受けられます。そのため、政策について記者団から突っ込まれることに対して非常に神経質になっているので、記者対応の時間も相当制限しているようです。

ただ、分からないことは分からないでいいので、もう少しフランクに対応してもらう必要があると思います。

■総理の“SNS”での情報発信 メリットとデメリットは?

高柳キャスター:
そういった囲み取材に加えて、高市総理による情報発信の場としては“SNSの活用”も増えています。今、高市総理のXのフォロワーは約291.5万人(6月18日午後3時時点)で、6月18日には、G7について投稿しています。加えて地震発生時などの対応もXで行っています。

その情報発信について高市総理は、「政策内容などについて国民に丁寧に伝える方法としてSNSの重要性が高まっていると認識している」と話しています。(6月3日参院本会議)

TBS報道局政治部 野口記者:
SNSは情報発信ツールとして欠かせない存在となっています。

総理はSNSの発信について、2026年4月の参院予算委員会で「災害時の注意喚起など正しい情報をタイムリーに伝えられる」「内閣総理大臣や政治家の仕事を身近に感じてもらいたい」と述べています。

6月16日、関東で震度5弱の強い地震を観測しました。総理はG7サミットでフランスにいて、セッションに参加している真っ最中だったようですが、短時間離席をして官邸に指示を出したという投稿もされているので、まさにそれは体現していると思います。

ただ、このSNSでの発信について野党からは、「総理とマスコミのやりとりは国民とのコミュニケーションでもある」「SNSの発信は基本的に一方通行であるため、より双方向のコミュニケーションを重視すべきではないか」といった指摘もされています。

高柳キャスター:
SNSでの発信は、スピード感をもって伝えられるという一方で、一方通行というデメリットもありますね。

■SNSだけでは不十分?総理と国民のコミュニケーションの必要性

井上キャスター:
時代は明らかに変わったなと実感しています。

日本のみならず世界各国でメディアに対する不信感が高まる中、メディアのフィルターを通した情報を信用せず、SNSを通じて一次情報を取りにいきたいという人が増えています。

こうした背景から、政治家が自らSNSで一次情報を発信するという流れは、今後さらに加速していくと思います。

では、新しい時代にどういう形にするかということを考えていかなければなりません。

私は、コミュニケーションをするところは国民が判断する場として非常に重要だと思います。これは記者会見に限った話ではありません。

現在の党首討論のように、限られた時間の中で形式的なやり取りを見せられるだけでは不十分で、国会での拘束時間を調整してでも、党首討論などの場をもっと増やして、国民が判断できる場は作っていただきたいなと思います。

極論、メディアへの不信感があるならば、メディアを通さなくてもいいと思います。ただ、政治家としての役割責任として、その場を提供することは必要だと感じます。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
例えば、イギリスは毎週1回、党首討論を30分やっています。その日ごとにテーマを変えて議論していますが、そうした工夫が必要です。

それから記者会見でも、もう少し双方向のやり取りを増やすべきだと思います。

歴代の総理大臣には、司会の官僚の人たちを制して「まだ手が挙がっているので時間を延ばしましょう」と何度も言った政治家もいますので、高市総理もその辺に対する配慮をもう少ししてもらいたいと思います。

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<プロフィール>
野口隼平
TBS報道局政治部
総理の番記者
1989年生まれ
現在“最年長の総理番”

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年