棚田の保全や水問題の解決、インフラがない場所の医療施設にも
WEAZERの活用は自社の施設以外にも広がりつつある。「Villa」のオープン後から現在までに300件以上の問い合わせがあり、すでにいくつかのプロジェクトが進行していると高野社長が明かす。
「買いたいとか、使わせてほしいといった問い合わせはたくさん来ています。ただ、現状では多くは作れないので、社会的に意義があるものや、未来を少し変えていけるような創造性を持つプロジェクトに限定してお届けする予定です」
進行中のプロジェクトの一つが棚田の保全。富山県氷見市など5者で今年2月に連携協定を結び、棚田を中心とした持続可能な地域づくりを進めている。棚田にWEAZERによる宿泊施設を作って歴史や文化を体験してもらい、その収益で棚田を再生させる。そして収穫した棚田米のブランド化を目指す。
沖縄県の宮古島でもWEAZERの建設を進めている。宮古島では観光客が急増しホテルなどの開発が進む一方で、島内の淡水資源が限られていることから、水の利用を制限する状況が生まれている。WEAZERによって水問題の解決と観光活性化の両立を目指している。
また、WEAZERを活用した医療施設も研究開発中だ。その地域にインフラがなくても、停電や断水などが起きても医療を提供できる。高野社長は最新の設備で精度が高い診断ができるDX診療を組み合わせることで、地域医療への活用や、途上国での医療支援などを念頭に置いている。
「世界中で20億以上の人が、電気や水道がない場所で医療行為を受けなければならない現実があります。そういった地域にWEAZERを置くことで、環境に対する負荷なく、雨水や地下水から日本の水道水以上にきれいな水を作り出すことができます。世界の医療問題を救うためにもWEAZERを広げていきたいですね」
現状では年間5件ほどのプロジェクトを進めていて、WEAZERの生産能力を上げることで、数年後には年間20件から30件くらいまで増やしていくことにしている。観光、農業、医療、防災など、オフグリッド建築で解決できる問題は、さらに広がっていきそうだ。
「調査情報デジタル」編集部
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














