世界と戦う上で日本が必要なもの
新たなシーズンを前に代表へ戻った石川。ペルージャで積み重ねた経験は、日本代表が世界と戦うために必要なものを、より鮮明に映し出していた。
ペルージャで得た“本物の自信”は、 そのまま日本代表の課題と直結している。日本が世界と戦う上で最も不足しているのが、 まさに“ペルージャが持っていた強度”だからだ。
「ペルージャでは日々の毎日の練習の段階から、自分たちのミスに対して、もの凄く厳しく、徹底してやっている。基本的にコートの中での“ミスが世界一少ないこと”が最大の武器。すべての繋ぎのコンビの“クオリティ(精度)”が異常に高い。 レシーブが上がってからの“サイドアウト(切り返し)”の決定率の高さが、僕たちの絶対的な一つ強みだった。そこが試合の中で常に綺麗に取れていれば、世界のどこが相手であっても『絶対に負けないな』っていう絶対的な手応えがコートの中にあった。
さらに言えば、大舞台での修羅場の試合を戦っていく上で、この1本のレシーブ、この絶対に落とせない勝負どころの“大事な1本”っていう局面を、人生の中で“経験する回数(場数)”が、圧倒的に多い。極限のプレッシャーの中で戦っている回数がどの選手とも違う。そういうプレッシャーのかかる場面に、自分の心が“慣れている(アジャストできている)”ところも、すごく大きい。
極限の場面に普段のリーグから慣れている、その緊迫した瞬間であっても、いつも通りの“通常のプレー”ができる。日々の練習通りのクオリティのプレーがコートの上でブレずにできているから、プロセスでその大事な1点も、世界相手にしっかりと取れている。 もちろんシチュエーションによっては『本番のこの1本』と『日々の練習の1本』は全く重みが違う。でもその本番の1本を、まるで“『練習の1本のように、リラックスして無駄な力を抜いてできている経験・技術』”は、ペルーシャのメンバーは世界の誰よりも多い。だから、どんな大会でも最終的に上手くいく」
“本物の自信”=場数から生まれる技術。その準備に対して、取り組みに対して石川は求める。日々の地道な練習の積み上げから生まれる『本物の自信』。大舞台での勝ち切る経験値が圧倒的に多いからこそ得られるものが大きい。
世界のトップと戦うためには、 “極限の場面で勝ち切る経験値”が絶対に必要になる。 ペルージャで積んだ修羅場の場数は、 そのまま日本代表の武器になる。
石川が進化すれば、その背中がチームの基準になる。 個人の進化が、チーム全体の進化を引き上げる。
ここで石川は、こう続ける。
「今回VNLでは決勝ラウンド進出をすることは、チームにとって間違いなく絶対に必要になる。昨シーズンも、決勝ラウンドに進み、結果としてはベスト8で負けたが、『世界のトップが集まる決勝ラウンドに毎年当たり前に進む』ことは、今の日本代表として最低限のやるべき義務。トーナメント戦は、一発で負けたらそこで全部終わり。負けたら終わりになればなるほど、コートにかかるプレッシャーがもの凄く重くなる試合になる。極限の重圧での真剣勝負を経験することは、今の日本の若い選手たちにとって何よりも大切なこと。さらに準々決勝、準決勝、決勝と上がっていく中で、準々決勝よりも、準決勝の方がもっとお互いのプライドがぶつかり合って白熱した戦いにはなる。そして準決勝よりも決勝・3位決定戦も含めて、メダルをかけた世界のトップ4だけの極限のシチュエーションをコートの上で経験すればするほど、僕はチーム全体の経験値としても、個人のメンタルとしてもグングン上がっていくと思う」
完成に近づくほど、未完成を知る。
だから石川祐希は、今日も問い続ける。
「やりきったか?」と。

















