奪われた38年 2度目の再審で開示された“無罪につながる証拠”

福井県に住む前川彰司さん(60)。殺人の罪に問われ、懲役7年の刑が確定した。

だが、前川さんは一貫して無実を訴え、2025年に再審=やり直しの裁判でようやく無罪が確定した。逮捕から38年がかかった。

前川彰司さん
「相当長期にわたって重い十字架で苦しむことになったと。生きてても地獄、生き地獄」

前川さんは、なぜ無実の罪に問われたのか。

事件が起きたのは1986年、福井市で中学3年の女子生徒が包丁で刺されて殺害された。

物的証拠がないまま捜査は難航したが、知人らの目撃証言が決め手とされ、当時21歳だった前川さんが逮捕された。

前川さんは服役後、再審を請求した。目撃の信用性に疑問を投げかける証拠が見つかり、再審開始が1度認められた。

ところが、この決定に検察が抗告=異議を申し立てた。すると高裁が再審開始を取り消した。

前川彰司さん(2013年)
「勝つまで戦いますので絶対勝ちます。最後には絶対。どうぞお力をお貸しください」

事態が動いたのは2度目の再審請求だった。

隠された証拠があるのではないかと、弁護団が検察に対し、さらなる証拠の開示を求めた。

検察は拒否したが、裁判所も強く促した結果、あわせて287点の新たな証拠が開示されたのだ。その中の警察の捜査報告書に重大な記述があった。

有罪の決め手とされた知人の目撃証言だ。

知人の目撃証言
「夜のヒットスタジオという歌番組が入り」
「その後、外出して血だらけの前川を見た」

「3月19日の事件当日に血だらけの前川を見た」としていたのだが、同じ日に見たという番組について、警察がテレビ局に照会したところ、実は1週間後の3月26日の内容だったと記されていた。

目撃証言の信用性が揺らぐ、証拠があったのだ。

前川さんは、自分の無罪につながる証拠が隠されたまま、裁判が続けられたことに憤る。

前川彰司さん
「濡れ衣を着せられる状態には違いなかったというか」
「人の道に反することを平然としてやっているんですから」