「国内最大級の産廃不法投棄事件」があったのは、香川県土庄町の豊島(てしま)です。香川県により進められていた産廃処理事業は、まもなく大きな区切りの時を迎えます。
産廃特措法に基づく国の財政支援が受けられるのは、今年3月末まで。現在、不法投棄があった現場では原状=元の状態に近づけて、住民に引き渡すための整地作業が進められています。

■住民の闘いは半世紀近く続く「長い。たくさん亡くなった」
香川県では、小豆島に次ぐ大きさの豊島です。

定期船の航路からも見える1軒の建物。「豊島のこころ資料館」です。

かつて不法投棄を続けた業者の事務所を改装し、「産廃のはぎ取り標本」など、島を揺るがした事件の様々な資料を展示しています。

(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)
「50年近くになるでしょう…長いですわね。たくさん亡くなっています」

亡くなった人の名前の横には、黒い印が。業者が、香川県に産廃処理の許可申請を出したのが1975年。島の闘いは半世紀近く続いています。

(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)
「当時は24歳くらいだから、住民運動でも若いですよ、一番。だけど私が上の方になってしまった」
■香川県が「ミミズ養殖」と騙った業者を許可 産廃の不法投棄が始まった


「無害な産廃を利用したミミズ養殖」と騙った業者を、香川県が許可。しかし、実態は、シュレッダーダスト=自動車の破砕くずなどが大量に島に持ち込まれました。不法投棄は約10年にわたり続けられ、ゴミの山からは黒い煙も立ち上りました。

(豊島住民)
「このごろなぁ、豊島といわず『ゴミの島』と呼ばれている。あきらめられんけどしょうがないなあ」
■豊島住民「海の砂からみな真っ黒。カニも何も食べられへん」

RSKが、豊島のゴミ問題の取材を始めたのが1990年です。

(豊島の住民)
「海の砂からみな真っ黒、カニも何も食べられへん。それでもみんな我慢しとるんですわ。あんたは国会のエラもんでしょうが。香川県の県知事さんに、ちいと意見してください。いままでほったらかしているでしょうが」

「このゴミは、豊島のゴミではもちろんありません」


業者は警察に摘発されますが、「都会の大量消費のツケ」は、地方の島に押し付けられたままでした。

(香川県庁 1998年)
「30万の署名をもってきたんやから、入れたらええやないか」