復興の押し売りをしていないか?~地元局記者としての自問~

地震から10年経ち、被災地の傷跡は一見すると分からなくなっています。これも多くの人々が日常を取り戻すために努力した結果ですし、その努力を放送することも大事なことだと思います。

ただ、時々、復興という言葉を安易に使っているのではないか?復興の押し売りになっていないか?と自問することがあります。

復興という嬉しいニュースや明るいニュースは取材もしやすいですし、視聴者を勇気づけることになるかもしれません。

ただ、10年経ち、復興の陰に隠れて未だ再建途中の人の存在が見えにくくなっているのではないかと思っています。

復興とはなんなのか。

小嶺ひろ子さんは「自分の家が『ここ』と決まって、住めるようになったときが『復興』なんです」と語ります。これこそが数字では測れない復興というものなのだと思います。

地元局の記者として、復興を単なる「完了したプロジェクト」として報じるのではなく、被災した一人ひとりが「日常を取り戻した」と心の底から言えるその日まで見続けていきたいと思っています。

<執筆者略歴>
鬼塚 龍史(おにつか・りゅうし)
1992年 熊本市生まれ
2016年 熊本放送(RKK)入社 
メディア総局報道センターで県警キャップなどを経て2024年から県政キャップ(現職)

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。