埋まらない政府との溝、米軍基地の調査はなぜ進まない?

PFASの発生源と疑われているのが、アメリカ軍基地で使われてきた“泡消火剤”だ。
極東最大の在日アメリカ軍・嘉手納基地。10年前、PFASが検出された北谷浄水場は、嘉手納基地周辺を取水源としている。
このため沖縄県は、当初から発生源は嘉手納基地の疑いが強いとみてきた。

沖縄県企業局 宮城力 局長
「嘉手納基地があって地下水がこう流れていて、基地に流入する前の上流側ではPFOS濃度は低い値を示しております。これが基地の下を通過して下流側になりますと、PFOS濃度が非常に高くなっている」
「加えて、基地内にある嘉手納井戸群、これも従来から水源として活用していて、この井戸群のPFOS濃度も高い」
「県としては、PFOS等の主な汚染源は嘉手納基地であると考えている」
嘉手納基地や普天間基地周辺の湧き水や河川などでも、暫定指針値を超えるPFASが次々と検出されてきた。3月には、これまでで最大の2800ng/Lという値まで出ている。
だが、アメリカ軍は「日米地位協定」をもとに、沖縄県の立入調査を拒み続けてきた。日本政府は基地内の調査が出来ない中で、原因はわからないという立場を崩していない。
2024年、町田さんたちは、国際社会に訴えるため国連に向かった。
その訴えが届き、国連の「女性差別撤廃委員会」が日本政府に勧告を出した。水道水の検査について報告を求めるものだった。
これを受けて町田さんたちは国に対し、汚染源の徹底調査を求めた。しかし…
防衛省の担当者
「PFAS等の検出と在日米軍の因果関係については、確たることを申し上げるのは困難」

環境省の担当者
「過去さまざまな用途で使用されてきたことから、必ずしも米軍基地との関連性については確認をされていない」
厚生労働省の担当者
「現時点での知見では、どの程度の血中濃度で、どのような健康影響が個人に生じるか明らかとなっておらず」
国の回答は変わらなかった。

町田直美さん
「勧告をきちんと受け止めて、子ども・女性を守るために、汚染源を特定してください。血液調査をぜひお願いします。放置も罪のひとつです。人権侵害です」
2025年9月、町田さんたちの怒りをさらにかきたてる出来事があった。
北谷浄水場でPFASを除去する高機能粒状活性炭。その導入費用16億円のうち10億円を防衛省が負担していた。
だが、防衛省は年間3.5億円以上と見込まれる活性炭の更新費用については、今後、県がすべて負担するよう求めてきたのだ。
これに対し、沖縄県の担当者は…

沖縄県企業局 宮城力 局長
「企業局としましては、PFOS等の主な汚染源がある蓋然性が高い米軍嘉手納基地、ここの対策費用は、施設提供者である国が支援していただきたい。防衛省はじめ、沖縄担当大臣が来沖する際にあっても、PFOS対策の費用の負担について要請をしてきたところです。国費が受けられないということになれば、今後の水道料金に転嫁することが懸念されます」
町田さんと共に活動を続ける与那城千恵美さんは、憤りを隠せなかった。

与那城千恵美さん
「なんで人が汚したのを、私たちがお金払わないといけないのって。でーじわじわじー(怒りが湧いてきて)、やめさせないといけないと思って、署名活動を始めることにしました」
町田さんたちは2025年12月、約4万筆の署名を携え、国との交渉に向かった。
防衛省側は、2018年に一度調査はしたが「PFASとアメリカ軍基地との因果関係を明らかにするために行ったものではない」とした。
沖縄県の市民団体の男性
「放置してるっていうことですね」
防衛省の担当者
「米側との調整が整わなかったためできなかった」
結局、基地が原因だと特定できない以上、「PFASを除去する活性炭の更新費用は負担できない」という国の立場は変わらなかった。

町田直美さん
「汚されたのに私たちがお金も払うの?って。単純にそういうことですよ。私たちが汚されたんですよ。私たちが汚したんじゃない。米軍じゃないならどこなんですか?早急に解明してくださいよ」
「何ひとつ伝わったっていう手応えはありません」














