「私だけの裁判ではない」
法務省は2026年4月から、外国人が日本国籍を取得する際の運用を厳格化した。かつて私の取材に男性は「この裁判は私だけのためではなく、同じ問題を持つみんなのためでもある」と語っていたことを思い出す。
男性が、日常生活に支障のない日本語を使えることは法廷で実証された。加えて難民条約には国籍取得を“できる限り容易なものとする”という規定がある。一連の法廷を傍聴してきたが、もはや日本国籍を認めるべきだと思う。
とはいえ、男性が難民申請をした時から支えてきた鈴木弁護士の言葉は重く響く。
「国籍の取得を日本政府から拒絶されている間に、彼は年齢を重ねた。世界は激変し、資金難となった国連は従来のような採用が難しくなり、夢を実現させるのはほとんど不可能になってしまった。人生にとって、最も重要とも言うべき自己実現を妨げられ、幸福追求権が侵害されたことを忘れてはならない」
裁判官は、どう判断するのか。5月12日の判決に注目したい。
<“知られざる法廷”からの報告>
裁判所では連日、数多くの法廷が開かれている。その中には、これからの社会のあり方を問う裁判があるが、報じられないまま終結してしまうことも少なくない。“知られざる法廷”を取材して報告する。

















