国の代理人は裁判官
関弁護士は「尋問前に書証は出し終えておくべきであり、例外は反対尋問の際に弾劾証拠として提出するというやり方だ。今回、国は反対尋問の時点で出し惜しみし、証拠調べの終了を前提とした最終準備書面の段階で、いきなり“後出しジャンケン”的に出してきた。原告側の反論、反証の機会が不当に奪われかねない禁じ手的なやり方でアンフェアだ」と指摘した。
そのうえで「国の代理人は公益を代表する立場。より一層の公平さ、公正さが求められる。手段を選ばず、何が何でも国を勝たせればいいというものではない。しかも川勝氏は裁判官からの一時的な出向者であり、このように不公正な証拠の出し方をするのは、二重の意味で許しがたい」と批判した。
補足すると、川勝氏は「判検交流」と呼ばれる最高裁と法務省の交流人事で裁判官から出向している。この人事では、法務省で国の代理人を務め、通常は数年後に再び裁判所に戻る。「審判(裁判官)が相手チームの監督(国の代理人)になる」とかねてから批判されてきた。刑事事件では「裁判の公正さをゆがめかねない」として2012年度に廃止されたが、民事の分野では今も続いている。
外国人の人権を巡る裁判を取材していると、国側の姿勢はアンフェアだと感じることがしばしばある。
ミャンマーの少数民族ロヒンギャの男性が国に難民認定を求めた裁判では、2024年1月、名古屋高裁が男性の逆転勝訴を言い渡した判決の中で、国の姿勢を「世界人権宣言の趣旨にも反し人道上看過できない不相当な主張」「難民申請者の実情を無視」「まったく意味のない的外れな主張」と痛烈に批判した。
弱い立場にある個人が、国という強大な存在を相手に最後の頼みの綱として起こす裁判で、アンフェアな対応があってはならない。

















