入管段階の審査で難民不認定とされたカメルーン人の男性が、不認定処分の取り消しなどを求めて国(出入国在留管理庁)を訴えた裁判で、1審東京地裁と2審東京高裁が、いずれも男性を難民と認める判決を言い渡した。まさに難民認定のあるべき姿を示した2つの判決は、これからの裁判でも“教科書的なスタンダード”になるのか。「知られざる法廷」から報告する。(元TBSテレビ社会部長 神田和則)

英語圏で起きた分離独立運動

「(男性は)難民に該当すると認められるから、不認定処分は違法で取り消されるべき」

4月15日、東京高裁(吉田徹裁判長)は国の控訴を棄却し、1審の東京地裁(鎌野真敬裁判長)に続いて、男性を難民と認める判決を言い渡した。

男性が入管に対して最初に難民申請してから14年。救いの手は入管でも、難民審査参与員でもなく、裁判官によって差し伸べられた。

難民とは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見などによる迫害を理由に母国を逃れて、他国に保護を求めた人々だ。難民条約で規定され、日本は1981年に加入した。

カメルーンは第1次世界大戦後、英仏が分割統治した影響で、1960年代に仏語圏と英語圏からなる連邦国家がつくられた。その後、仏語圏に置かれた政府が主導して中央集権化が進められたことから、英語圏で分離独立を求める運動が起こり対立が続いてきた

男性は英語圏の政治団体「南カメルーン国民会議」(SCNC)に所属して集会やデモに参加、2004年から2011年の間に警察当局に4回逮捕され、このうち3回で体中に傷跡が残るほどの暴行、拷問を受けた。

2012年に保護を求めて来日、「帰国すれば逮捕されて命の危険にさらされる」と2回にわたり難民申請したが、「本国政府から指名手配されたことから、帰国した場合、逮捕され、命の危険にさらされる旨申し立てていますが、あなたの供述には不自然、不合理な点が認められ、申し立ての信ぴょう性に疑義があります」などとして、1次審査にあたる入管の難民調査官も、2次審査の難民審査参与員も不認定に。2023年に裁判を起こした。