難民条約は「国籍取得をできる限り容易に」
弁護団が焦点を当てたのは難民条約34条の規定だ。
「締約国は、難民の当該締約国の社会への適応及び帰化(国籍取得)をできる限り容易なものとする。締約国は、特に、帰化の手続が迅速に行われるようにするため並びにこの手続にかかる手数料及び費用をできる限り軽減するため、あらゆる努力を払う」
つまり34条は条約加入国に対し、難民が社会に定着し、国籍を取得するために、できるだけ“ハードルを下げる”ことを求めているのだ。
裁判で弁護団は、こう主張した。
「国籍取得を申請した人が難民の場合、受け入れた国が国籍を与えなければ、生涯、実効性のある国籍を持てなくなってしまう。だからこそ難民条約は34条で、一般の外国人に比べて難民の国籍取得を“できる限り容易なものとする”という規定を設けた。国はこの義務を誠実に順守しなければならない。ところが男性の場合、“できる限り容易”にした形跡が認められない。条約の要請に実質的に応えておらず、法務大臣の裁量権を逸脱、乱用したことは明らかだ」
国側は「法務大臣には、国籍取得を許可するかどうかに関して極めて広範な裁量権がある。国籍法が定めた条件が備わっていても許可を義務付けられているわけではない」「難民認定されたことは判断する際の一つの事情」などと反論した。
(国側の反論などの詳細は、2024年5月29日「国連で働き難民を助けて、自分らしく生きるために、日本国籍を…“無国籍状態”の難民の訴えで初めて争点になったこと【“知られざる法廷”からの報告】」参照)

















