被害者遺族「あの日から止まったまま」
事件から15年、被害者遺族のAさんは(30代)今、どんな思いで生きているのか。2025年、筆者はAさんのもとを訪ねた。
「あの日から止まったままですね。1日前に戻れたら何かできたかなって。落ち込んで仕事を辞めたり、生活がガラリと変わりました。病院では鬱と診断され、しばらく薬が手放せませんでした」
事件のことを思い出すと心の安寧が保てないため、普段は位牌さえ目の届かないところで保管している。それでも誕生日などの節目には、家族団らんの記憶が蘇ってしまうため、一人でケーキを食べて落ち着かせるという。
最高裁での審理の前には「死刑と決めないでほしい」とする上申書を提出したAさん。しかし、死刑確定後に奥本死刑囚の弁護士がこの上申書を根拠に減刑を求める再審請求を行った際には、Aさんは上申書を撤回した。
「やっぱり気持ちに波はありますよ。当時、上申書を出した気持ちに間違いはありませんが、今も同じかと言えばそうではありません。昔も今も気持ちは揺れ続けています」
筆者はインタビューの最後に、奥本死刑囚に今後、どう過ごしてもらいたいかを尋ねた。
「反省ですね。それしかないと思います。反省に終わりはありませんから」。Aさんは最後まで厳しい表情を崩すことはなかった。

















