5区と6区が勝負どころになるか?
Hondaの弱点はインターナショナル区間の2区である。前回大会と11月の東日本予選は、ジャクソン・カベサ(21)が2大会とも区間賞から1分前後後れてしまった。今回はジャスティス・ソゲット(23)が出場する。2年前に区間15位ではあったが区間賞から39秒差で走った。「そのときと同じタイムと順位で走ってくれたら」と、小川監督は過度の期待をかけない。「2区終了時に先頭から1分以上開かないこと。できれば30秒くらいで行きたい」
期待するのはやはり伊藤と青木の代表コンビだ。伊藤が3区か4区の出場が予想され、「4区終了時にトップから30秒くらいのところにはいたい」という。5区は青木の3年連続出場が有力だが「力の差が大きくタイムに出る区間です。ウチが優位に展開できる区間」と見ている。
青木は5区で2年連続区間2位だが、21年大会は区間賞の服部勇馬(トヨタ自動車・29)と1秒差、22年大会は区間賞の小野知大(旭化成・23)と4秒差だった。区間4位との差を2回とも30秒以上つけている。
今季の青木は本職の3000m障害での世界陸上代表だけでなく「去年は10月に練習できていなかった期間もありましたが、今年は去年より練習ができて、12月は去年よりも良い走りができています」と小川監督は太鼓判を押す。青木自身、東日本予選後に3年目のニューイヤー駅伝の目標を「区間賞を取ってトップに立てるように」と言い切った。相手チームの走りにもよるが、Hondaが5区でトップに立つ可能性は十分ある。
そして5区でトップに立てなかった場合は前回同様、6区でトップに立つプランだ。過去10大会連続で、優勝チームの選手が区間賞を取っている区間である。「そこに強い選手を置きたい」と小川監督も重要視する。
前回その役割を担ったのが中山だった。8.4km付近で32秒先に中継所を出た三菱重工を抜き去った。区間2位の選手に27秒も差をつける圧倒的な走りをしたのである。その中山も「去年に比べ練習が継続できている」と自信を持つ。ハーフマラソンも2月の全日本実業団ハーフで1時間00分38秒の2位、10月の英国大会でも1時間03分00秒の7位と結果を残した。
「夏は100%できてスタミナの上積みができました。10月に一度故障をしましたが、上積みがあったのですぐに戻って、今は勝負できる状態です。6区の向かい風でキツい中でも、体を動かすことができる」
中大に一般入試で入学した中山は、最初は寮に入れない準部員だった。だが目の前の目標を1つずつクリアすることで、ハーフマラソンでは日本トップレベルに到達した。強いメンタルがあって初めてできることだろう。勝敗に直結する区間として注目度が年々上がる6区にも、中山は少しも怯まない。「10年連続勝負の区間となってきたプレッシャーもありますが、もともとコースの最後は気持ちが大きく影響するのが6区なんです。気持ちは誰にも負けずに走りたい」
6区が設楽、7区が中山の可能性もある。設楽が6区でも、4区で区間賞を取っていた頃のスピードはないかもしれないが、向かい風の中で気持ちの強さを見せてくれるのではないか。
果たして今回も6区の区間賞を取ったチームが優勝するのだろうか。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)














