「22世紀が視野に 20世紀までの認識だけで物事が済むのか」

富野:22世紀、23世紀に向けての技術革新とか実務の開発をしていかなければいけないんじゃないかな。

われわれは、気象衛星から送られてくるデータで作られた天気予報、雲の動きを毎日平気で見てるんですよ。あれを当たり前に見るんじゃなくて、感動しなさいよ毎日毎日、と言いたいんです。

その当たり前のことを日常にしているのはかなりすごい。だったら、次のことをもう少し有効に考えていくっていう回路を持つ時が来てるんじゃないのかな。

たとえば宇宙から地球を観察する精度をもっと上げていくと、地球のことが分かってきて、「このままいつまでも地球上で戦争なんかやってられなくなるぞ」っていうレベルに行くんです。

山本:八坂先生は、昼夜天候を問わず地上を観測できるSAR衛星で、日本や世界を見ている側です。QPS研究所の展開式大型パラボラアンテナは、SAR衛星の小型化を実現したまさに技術革新ですが、それが開発できたのも、先生が若いころから研究を続けてきたいろんなアイディアや技術があった積み重ねだと思うのですが。

八坂:1980年代ごろからアンテナをつくっては壊し、どうやって打ち上げるか考えて研究・開発をしてきました。

人工衛星は、打ち上げても故障があれば、全部あきらめてしまうことになる。今でもそうです。

だから、なおせるものがあれば宇宙で故障を修理するための仕組みをどうにかしてできないか考えていました。低軌道なら燃料が必要なので大変だが、静止軌道ならできるだろうと。

ほかに、テザーというワイヤーを衛星から伸ばして、ものすごく大きな直径1キロのアンテナを作ろうということも考えました。

太陽光発電衛星で作った電力を宇宙から地球に送ろうという設備です。うんと軽くして、スペースシャトルで上げられる設計になっています。こういうのをいろいろ研究してましたが、実現したものは全くないです(笑)

富野:八坂先生がおっしゃったような基礎アイデアというのはとても大事で、一見とんでもないようなアイデアに見えたりするんだけれども、やはり全否定はしてはいけないんですよ。でも丸呑みでアイデアを受け入れていいかというとそれもいけない。

いやな言い方だけど、中庸で物を考えていくということも起こる。ただこの場合の中庸が、20世紀までのものとは違うんだよということを我々はわきまえて、ものを考える必要があると思っています。

重要なのは時代性の問題なんです。やはり今2026年で、つまり21世紀だと言ってたのがもう4分の1を過ぎてしまった。そしてあと25年経つともう半世紀になるので、22世紀というのが視野に入ってくるという時代なんです。

だから20世紀までの物の考え方とか認識だけで物事が済むのかというと、絶対済まないんだということをそろそろ我々が認識しなくちゃいけない。

八坂:素晴らしいと思います。おそらく今日の会場の中でも富野監督と私がおそらく一番年上ですよね。その富野さんから、22世紀って言葉が出てきたの。

「やがて21世紀には…」というのは昔よく話したけども、もう22世紀かとちょっとびっくりしたんですけども。考えてみれば、もう四半世紀過ぎてるわけですね。

宇宙に対する考え方、人類の宇宙へのアタックの仕方。これは進展してきていると、今のところ楽観して考えてます。

それこそ22世紀を見据えて、私らはこの世にいないかもしれないけども。是非「面白い」あるいは「役に立つ」そして「人類のためになる」世界を作ってくれるということをこれからの世代に期待しています。