日銀は景気と物価の両睨み
これに対して、日本銀行の植田総裁のスタンスは、少し違います。インフレ警戒だけを前面に出すのではなく、むしろ中立的なニュアンスが強かったように、私は受け止めました。
18、19日に行われた日銀の政策決定会合は、大方の予想通り、金利据え置きでした。今後についても、「経済や物価が見通し通りであれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と、これまでと同じスタンスでした。
記者会見で植田総裁は、焦点の原油価格高騰の影響について、景気下押しのリスクと、物価上昇のリスクの両面があるとして、「どちらに重点を置いた政策を行うか、一概に答えるのは難しい」と述べました。
原油価格高騰で幅広いモノのコストが上がれば、景気が一気に悪化し、その際には景気下支え、すなわち緩和的な政策をとる必要があります。一方で、エネルギー価格の上昇が人々のインフレ予想を高め、基調的物価が上昇していくのであれば、引き締め的な政策が必要になるわけです。植田総裁は、他の先進国のトップよりも、景気悪化のリスクを心配しているように思えます。
あくまで「基調的物価」を重視
また、植田総裁は、物価の判断を行う際に、基調的な物価を見るという姿勢を、依然として強調しています。つまり、一時的な原油価格の変動などの要素は、できるだけ除いて、物価上昇の内在的な力を見たい、と言っているわけですから、その分、目の前の物価上昇には、少し寛容な印象を受けます。
植田総裁は、決定会合での議論では、「物価の上振れリスクを重視する人の方が、景気の下押しリスクを重く見る人より多かった印象もある」と、わざわざ議論の過程を紹介しましたが、「自分としてはもう少し動きを見て判断したい」と、自らの考えを明言しませんでした。














