人類は「ニュータイプ以前」に戻った 20世紀以前のような政治家が国家のリーダーに
富野監督は、ニュータイプ論を現実の社会に引き寄せていく。その視線は、混迷を深める国際情勢や現代政治へ向けられる。21世紀を迎えれば、人類はもっと賢くなっているはずだーそんな期待は裏切られたと、監督は語気を強める。「ニュータイプだけが生まれることは絶対にない」
記者:時代が進んで、21世紀になれば理想を実現できるようなリーダーが出て来ると期待されていたのですね?
富野: そしたら、皆さんご存知の通りです。21世紀になったら、20世紀以前のような政治家が国家のリーダーになったりしているんです。戦争の仕方も中世の戦争よりもひどい。
個人の意志だけで侵攻するようなことをやっていながら、「これは“戦争”ではなく“特別作戦”なんだ」みたいな言い方をいまだにしているような政治家がいるなかで、われわれはそういう人を政治家とは言わないと非難しなくちゃいけないんだけれども、世界中でそういう政治家を正面から非難した政治家がいますか?
記者: 深い問いです。
富野: つまり、ニュータイプ以前の人たちです。人類は「ニュータイプ以前」に全部戻っているんです。21世紀にもなったにも関わらず、です。
そうすると、こういう危機的な人類史を、今われわれが続けている現代に、もっとリアルに人の問題を考えていかなくちゃいけないと考えるようになったのです。
じゃあ「ニュータイプ」という言葉が持っている「人の問題」は何なのか?と考えた時に、社会のインフラを整備してくれる人。それから毎日毎日、水道管を叩いて点検をしてくれる人。こういう人たちがニュータイプだろうと思えるようになったわけです。














