宇田を救った父の言葉
「お父さんのために、戦ってほしい」
この言葉に父・直充さんはどのような思いを込めたのか。
「自分のために頑張るのには、どうしても限界が来ます。色々な激励をしても彼に届いていないと感じた時、最後に出たのがあの言葉でした。何でもいいから、もう一度だけ『頑張る』と言ってほしかった」
父の思いがけない言葉に宇田は「マジか」と驚いた。だが、その言葉が「自分のため」に頑張る限界を迎えていた心に、新たな火を灯した。
「宇田家は祖父の代から卓球一家。家族の代表として夢を見せられるのは自分しかいない。そう思えたことで、もう一度頑張ることができた」
ただ息子の火を消したくない一心で絞り出した「父の願い」。「まさかそれが本人に一番響いていたとは、今の今まで知らなかったのですが(笑)」照れくさそうに笑う父の言葉が、折れかけていた王者の心を、再び戦いの舞台へと押し戻した。

















