取材を終えて

私が初めて奥本さん夫妻と出会ったのは2013年、殺人事件を起こした長男、章寛を支える地元の集会の際だった。部屋の片隅で肩をすくめながら涙を拭う浩幸さん、参加者一人一人に深々と頭を下げる和代さんの姿が胸に焼き付いている。

私と奥本さん夫妻の付き合いは13年間に及んでいる。最高裁での死刑判決、死刑囚としての処遇確定、決して償えない罪の重さにもがき苦しむ息子の前で狼狽する夫妻の姿を目の当たりにしてきた。

次男の隆嗣さんはこれまで両親を影ながらサポートする立場だったが、事件から15年が経過した今、地元の章寛を支える会に自ら参加を申し出た。長男である兄が本来やりたかった親孝行を、弟である自分がやらなければならないという覚悟からだと思う。

死刑囚の家族が顔と実名を出してメディアの取材に応じることは大きな負担を伴う。誤解なきよう記しておくが、奥本さん一家から取材をしてほしい、と依頼してきたわけではない。私の方から死刑囚の家族の実態を伝える意義を説明して、納得してもらったのである。記者としての「業の深さ」と「責任の重さ」は自分なりに噛みしめているつもりだ。

奥本さん一家は家族が起こしてしまった事件の被害者への「罪悪感」と、死刑執行で家族を失う「恐怖感」の狭間で、一日一日を葛藤しながら生きている。

その家族の姿を通して「罪と罰」や「死刑」、そして「家族」について考えてもらう機会にしていただけたらと願っている。

※この記事は、TBSテレビとYahoo!ニュースの共同連携企画をLINE NEWSに配信しています。