「4秒」と命を守るタイムライン防災
タイムライン防災の第一人者として知られる松尾さんが特に重視するのが、地震発生直後の行動です。
首都直下地震のような直下型地震では、緊急地震速報が発表されるよりも先に揺れが到達することが多いということです。地震計がデータを感知し、気象庁のコンピュータが計算して速報を発信するまでに約4秒かかるため、震源が直下では速報が間に合わないのです。
阪神淡路大震災の地震計データを分析すると、揺れが始まってから身動きがとれなくなる震度5強程度に達するまでの時間はわずか4秒程度であることがわかっています。

つまり、大きな揺れが来てから自由に行動できる時間は、わずか3〜4秒しかないということになります。
松尾さんが2007年の中越沖地震後に柏崎市の仮設住宅で行った調査では、50人の被災者のうち7割近くが揺れている最中に怪我をしており、約3割が揺れが収まった後に負傷していました。
怪我の原因として最も多かったのは飛んでくる物体によるもので、次いで転倒や転落が続きました。

こうした知見を踏まえて松尾さんが提唱するのが、日常生活の各場面を想定した「タイムライン防災」です。
台風のように事前に情報が得られる災害と異なり、地震は突然やってきます。だからこそ、リビングにいるとき、台所にいるとき、寝室にいるときなど、それぞれの状況で「揺れが来たらどう動くか」をあらかじめ考えておくことが重要になります。
揺れが来たら頭を守りながらダンゴムシのように丸まる、机の下に潜り込む、といった行動を想定しておくことで、とっさの判断が命を救います。

揺れが収まった後のタイムラインも同様に重要です。自宅に亀裂が入っていたり、ガラスが飛散して危険な状態であれば、速やかに避難場所へ移動する必要があります。
そのためには、非常持ち出し袋を玄関近くに置いておき、水・食料・衣類・モバイルバッテリーなどをすぐに持ち出せる状態にしておくことが欠かせません。避難中の怪我を防ぐためのスリッパや運動靴、停電時に役立つ懐中電灯なども、事前に準備しておくべき必需品です。

















