世田谷区が最も危ない

首都直下地震における直接的な死者のうち、約7割は火災が原因と想定されています。約10万人が亡くなった100年前の関東大震災でも、大半は地震そのものではなく、その後の大規模火災が死因でした。

現在の東京においても、世田谷区をはじめとする木造住宅密集地域では、火災発生時の延焼リスクが高い状況にあります。

今回の被害想定は冬の季節を基準に計算されており、一度火が出ると広がりやすいという点に注意が必要です。

火災対策として重要視されるのは、電気系統からの出火防止と初期消火の2点です。強い揺れで停電した後、電気が復旧する際に転倒した電気製品などに通電して発火する「通電火災」が大きなリスクとなります。

これを防ぐには、揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカーの設置が有効であり、一部の自治体では配布も進められています。しかし、ブレーカーが落ちることで生命維持に必要な電力も絶たれるため、非常用電源などの停電対策も同時に検討しなければなりません。

初期消火については、各家庭での消火器の使用で一定の効果が見込めるものの、地域住民だけで行うバケツリレーのような消火活動には注意が必要です。
一般市民が火の向かう方向を判断するのは難しく、巻き込まれる危険性があると松尾さんは指摘しています。安全を確保するためには、延焼から逃れられる広域避難場所を日頃から確認し、避難ルートを把握しておくことが何より重要です。