「世田谷区は木造密集地で火が出やすい」
首都直下地震の想定では死者約1万8000人のうち、その7割が「火災」によるものとされています。中でも焼失棟数が多いのが世田谷区、次に大田区です。
東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターの松尾一郎さんは、首都直下地震への備えは「いつか来るかもしれない話」ではなく「今すぐ取り組むべき現実」として捉え直す必要があると指摘します。
「震度7」が東京を襲う
松尾さんがQGIS(地理情報システム)を用いてこのデータを地図化すると、東京湾岸エリアを中心に震度7の地域が広がり、お台場周辺や江戸川区、大田区などが特に強い揺れに見舞われる状況が示されています。
また、東京都全体の約3割強が震度6強となり、震度6弱のエリアを含めると、東京全域が相当な強い揺れに襲われる想定です。
震度6強や震度7という数値は、首都圏で暮らす多くの人々にとって経験のない揺れです。これらの震度では、耐震性の低い木造住宅が倒壊し、湾岸部の高層マンションでは長周期地震動による激しい揺れが発生します。
交通インフラへの影響も甚大で、首都圏を走る鉄道は緊急停止システムが機能すれば脱線を防げる可能性があるものの、一部では脱線や事故が発生する恐れもあるということです。
死者はおよそ1万8000人に
首都直下地震の想定される死者の数は1万8000人。この数字は、対策を推進するために算出された想定値であり、松尾さんはこの数字を被害の最小限と見ています。

能登半島地震の事例を踏まえても、停電による医療機器の停止や要支援者への影響、さらに発災後の大雨といった複合災害を考慮すると、実際の犠牲者数は想定を上回る可能性があります。
経済的被害は国の想定で約83兆円とされていますが、東日本大震災時に約440万世帯が停電し、完全な復旧までに約1カ月を要した事実を踏まえると、首都機能の停止による打撃は甚大です。


















