今年はロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、現在も緊迫した状況が続いています。侵攻開始から10か月、宮城県内で暮らすウクライナから避難してきた女性の今を取材しました。戦火を逃れ、異国で暮らす彼女たちに意外な出会いがありました。
■ウクライナから日本へ、東北大学で日本語を研究する女性の今
今年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。県内に避難してきたウクライナ人のクラヴェツ・マリヤさん(34)は、侵攻が始まった日のことを鮮明に覚えています。

クラヴェツ・マリヤさん:
「ウクライナ人はパニックになりました。朝からATMへお金を引き出しに行きました。将来はどうなりますか、今、どうすればいいですかという考えでいっぱいでした」
ウクライナの大学で日本文学を研究し、講師として日本語を教えていたクラヴェツさん。しかし、戦火が広がるウクライナでは、研究や授業を続けることが難しくなりました。

クラヴェツ・マリヤさん:
「空襲のサイレンが毎日。博物館とか図書館、学校・大学の破壊が多い。人々は家を失ってどこかへ避難する必要があった」
クラヴェツさんは8月、ウクライナの支援を行っている東北大学に研究生として受け入れられ仙台に避難してきました。東北大学では文学部に籍を置き、日本語の研究を行っています。小説を読み、ウクライナ語と英語、2つのレポートを作る毎日です。

クラヴェツ・マリヤさん:
「村上龍の小説の特徴の研究をしています。日本語に来るきっかけは(軍事侵攻で)本当に良くないが、そのチャンスを使いたい。できるだけ経験して知識を持って帰国してから自分の学生たちに伝えたいと思う」

日本で研究に集中できる日々が続くなか、11月3日のことでした。