2026年1月5日、長崎県五島市の沖合で、国内初となる複数の「浮体式洋上風力発電機」を並べた発電所が商用運転を開始しました。構想から16年。数多の技術的ハードルを乗り越え、島の電力需要の8割を“再生可能エネルギー”で賄える体制が整いました。
しかし、これはゴールではなく、新たな挑戦の始まりでもあります。「作る」段階から「使う」段階へ。離島が直面する課題と、未来への選択を追います。
16年の歳月を経て結実 涙よりも「安堵」
五島市・崎山沖の海上で、冬の風を受け力強く回る8基の巨大な風車。 海面からの高さは約170メートル。最大の特徴は、この巨大な構造物を海底に固定せず、海の上に浮かせる「浮体式」であることです。
遠浅の海が少ない日本において、洋上風力の切り札とされる技術ですが、複数の風車を並べて大規模な商用発電を行うのは、これが国内で初めての挑戦となります。

プロジェクトを率いてきた戸田建設の牛上 敬部長にとって、1月5日の稼働初日は、苦難の末にたどり着いた一日でした。 2010年に始まった国の実証事業から約16年。当初の計画から、建設中の技術的な不具合によって2年の遅れを余儀なくされました。ようやく迎えたその日の胸の内を、牛上部長はこう語っています。

「涙でも出るのかと思いましたけども、そういうことはなくて、まさに『安堵』の気持ちでした」


道のりは決して平坦ではありませんでした。世界的に見ても実績の少ない「浮体式」。2012年、最初は五島市椛島沖に今の半分のサイズの試験機を浮かべることから始まりました。

翌2013年には商用規模となる2メガワット機「はえんかぜ」の設置に成功。そこから実証を重ね、今回の8基体制へと繋げたのです。

五島市役所でゼロカーボンシティ推進を担当する川口祐樹係長は、漁業者との合意形成においても、この「スモールスタート」が重要だったと振り返ります。

「いきなり大規模に進めるのではなく、『はえんかぜ』の1基からスタートできたのが良かったのだと思います。まずは椛島の皆様にご理解いただき、実績を作ってから福江島の近くに持ってくる。そうやって段階を踏むことで、漁業者の皆様にも納得していただき、今回の規模へと拡大できたのです」














