午前5時前、あたりはまだ深い眠りの中です。
西尾さんの1日が始まりました。
「もうグングン行っちゃっていいですね」「はい」
しかしこの時、取材スタッフは「グングン」の意味を軽く考えていました。
自宅から諏訪湖畔にある釜口水門(かまぐちすいもん)までおよそ500m、ここでいきなりトップスピードに。
「いつもこんな感じペース崩すとかえって調子悪い」
時速はなんと7キロ。

(カメラマン)「ハアハアめっちゃ早い…」(西尾さん)「撮影ってのは結構大変ですね」
歩き始めてたった20分、メタボ気味のカメラマンはすでに音を上げるほど。
西尾さんは快調に下諏訪町から諏訪市へと向かいます。
「調子悪いってことはほとんどないね、だって大体3000周だもん、そんな甘いこと言ってたじゃできない、3000周ってのは…」
毎日同じ時間に歩けば知り合いも増えます。
「おはようございます」
いつも迎えてくれる散歩中の犬と唯一の休憩、しばし癒されます。
(犬の散歩中)「3000回過ぎたすごい人、お会いしないとどっか具合悪いかなと思っちゃう、もう行っちゃった?」
西尾さんあっという間に見えなくなってしまいました。
「あの犬とうんと慣れてるんですよね、うんとかわいがってんだけど」

(いきなり走り出す…)
(記者)「まじか!走った…」
なんといきなり走り出すではありませんか!
「普段通りやってますで、ここは走るんですよ」
ここでもスタッフはついていくことができずおいていかれてしまいました。
午前7時前、諏訪湖に朝の光が差し込みます。
残り3キロのラストスパートを西尾さんはまるでボクサーのように走っていました。
「生きてるって感じますね、こんな幸せなことない」
スタートから2時間と15分諏訪湖3019周目が終わりました。


「やっぱりここまで来たら5000はやりたいけど、だけどどうでしょう、あと1000できればいいなと思ってるけどね」
80歳を超えても挑戦し続けることをやめない西尾さん。
遠く先に見える夢も現実になるかもしれません。
「(家までどうやって行くの?)走って帰る、じゃあね」