チームを作る力:①ダルビッシュ
栗山: 強いチームと弱いチームの差は何か。
まずはダルビッシュ。
栗山氏はWBC合宿の休養日、ダルビッシュとオリックス・宮城大弥投手の2人だけが練習に出ていたエピソードを披露。
その時、宮城投手は極度の緊張でダルビッシュ投手に話しかけられなかったという。
栗山:翔平が決勝・アメリカ戦の前に「憧れるのはやめましょう」と言ったけど、一流選手の間にも心のギャップがあるのに気付いた。
「こんなんじゃ勝てないぞ」と思っていたら、ダルビッシュも同じことを感じていたようで、彼が合宿で最初にした提案は「食事のテーブルを丸テーブルに変えてほしい」ということだった。
当時、コロナ禍で距離を離していたが、「コミュニケーションが取れないと勝てないですよ!」。
そうすると、選手は野球の話を徹底的にするようになったという。
栗山:監督・コーチではなく、選手の中に「このチームを俺が勝たせてやる」と思いがあると伝染していく。ダルビッシュの存在はものすごく大きかった。

チームを作る力:②ヌートバー
「こんなことが起こるんだ…」
そう思わせた選手が、日系メジャーリーガーとして初めて侍ジャパン入りした、ヌートバーだった。
栗山:外国人選手は、日本の環境に慣れるまで結果が出ない。
「たった7試合しかないのに、全く打たなかったらどうしよう」とも思った。
コーチに相談したら「『〇〇ちゃん』と呼べばいい」と…嘘だよね?
でも、それしか方法がないから、彼のミドルネームが「タツジ」というので、「たっちゃんTシャツ」をつくって全員で着て迎えたよね。
その瞬間、みんなが同じ方向を向いた。
一人のためにみんなで何かをしようとした瞬間、チームが一つになった。
「こんなことで、こんなことが起こるんだ」と。
「侍ジャパンの一員」じゃなくて「あなたが侍ジャパンなんだ」という意識。
みんなも、自分がチームを勝たせるんだという思いを持ってほしい。














