業務停止命令の期間中に訪問業務を強いられたとして、「布亀」で働いていた女性が提訴することが分かりました。

 (布亀の元訪問販売員 Aさん)
 「営業停止中にも関わらず営業したり…許せないですね」

 こう訴えるのは、兵庫県西宮市に本社がある「布亀」で訪問販売員をしていたAさん。

 「布亀」をめぐっては、乳製品の訪問販売で認知症の高齢者らと契約を結んでいたということで、消費者庁は去年9月までの半年間、訪問販売に関する一部業務を停止するよう命じました。しかし…。

 MBSが入手した内部資料。客との契約が成立した際に訪問販売員が作成するものです。業務停止命令は去年3月から9月26日まででしたが、日付は7月18日。業務停止命令が出ていた期間でした。商品のサンプルを渡す、などの業務実績が記されています。

 去年4月、大阪府内の営業所に貼られていたというポスターには、「販売はケースで売る。キャンペーンに応じてくれそうな人を予測して声掛を実施する」。大々的に販売促進の号令が…

 取材を進めると、長年、Aさんから商品を購入していた女性に話を聞くことができました。業務停止命令の期間中、新たに商品を購入するよう対面でもちかけられたといいます。

 (Aさんの訪問販売の利用者 泉聖菜さん)
 「いまキャンペーンやってて、『これ良かったら取ってもらいたいんやけどいいかな?』みたいな。(Aさんは)今までお世話になってた方だったし、全然いいですよって言って、最初は一箱お願いしたんですよ。次の月に、『本当にごめんね、こないだごめんね』って言って、『次2箱』って言わはったんですよ。『キャンペーンなんだから、ちゃんと売って来い』という(上司の)圧でしかたなくって」

 「違法行為に加担しているのでは」と思い始めたAさんは仕事の意欲を失い、その後、営業成績は落ち込み、去年、「訪問販売員を契約途中で打ち切られた」といいます。

 (布亀の元訪問販売員 Aさん)
 「人に対して怖いんですね、いま。怖くて次の仕事が見つけられなくなっているので…本当に返してほしいです、この時間を」

 さらにAさんと同様の証言は現場からも…

 (元訪問販売員)
 「『いま(業務)停止中やけどやっていいの?動いていいの?新規活動を』とあえて(本社の上司に)聞いたんです。そうしたら(上司から)『かまいません』と『お客さんをどんどん増やしてください』と」

 (現役訪問販売員)
 「犯罪に加担していた形なので、知っていたらそんなことしなかった」

 Aさんは、「違法な業務を強いられ、職も失った」などと訴え、26日布亀に対し、損害賠償を求め大阪地裁に提訴する方針です。

 MBSは布亀に対し、事実確認を求めましたがこれまでに回答はありません。