マラソン代表経験者4人と成長中の若手で優勝を目指す三菱重工
三菱重工は言わずと知れたマラソンの強豪チーム。井上、山下、近藤が世界陸上の、井上と定方俊樹(33)がアジア大会のマラソンを走ってきた。井上が24年大会まで9年連続で最長区間を走ってきたが、前回は山下が任された。自身も14年アジア大会マラソン銀メダルの実績を持つ松村康平監督は、2区について次のように話している。
「近藤は全日本実業団ハーフの時の走りができれば、先頭の近くで走ることができます。28分20秒くらいで10kmを通過すれば大きく離されませんから、後半で順位を上げていくことができる。山下も近藤と同じで、前半からすごいスピードで走れるタイプではありません。区間19位でしたが前回も後半で順位を上げています」。
近藤と山下で2区と5区を分担する可能性が高そうだ。松村監督は「井上も2区候補」としているが、前半からハイペースで入ることができる特徴から、前回区間4位で走った3区が有力か。定方も鍵を握る。21年以降は1区、7区、6区、6区、5区を全て区間5位以内で走っている。競り合いにも強い選手なので、上位でタスキを受ければ定方でトップに浮上することができる。「年間を通してマラソン練習をしているので、ケガをしない耐えられる体ができています。駅伝で気持ちを盛り上げていくことができるのも、定方の強みです」(松村監督)。
今季は中間層のレベルも上がって来た。吉岡遼人(27)が九州実業団駅伝3区で区間賞、守屋も同駅伝6区区間賞、新人の小林大晟(23)は同駅伝7区区間2位でアンカー決戦を勝ちきった。守屋は前述のように、甲佐10マイルでも好タイムを出している。「山下と近藤がマラソンで結果を出してチームの中心に育ってくれましたが、駅伝で優勝するには吉岡たちが主要区間以外で力を発揮する必要があります。120%くらいの走りが欲しいですけど」。
4区のE.キプラガット(23)は23年大会2区(当時のインターナショナル区間)で、区間賞と6秒差の区間3位で走っている選手。「3区までをトップから10~20秒差」(松村監督)で走り、4区以降のどこかの区間でトップに立つ。三菱重工の選手は区間3~5位でも、先頭争いをしているチームがそれ以下の区間順位になるケースもある。近藤がマラソンのように快走したり、主要区間以外でも120%の走りをする選手が現れたりすれば、三菱重工に初優勝のチャンスが到来する。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















