一緒に育った友達「リリー」
取材をしている間、リリーはしきりに屋内展示場の私たちの方へと長い鼻を伸ばしながら、こちらを覗いていました。ただ、それは私たちを見ているというよりもベンがいたはずの部屋を何度も見ているようでした。
かつてベンとともに南アフリカからやってきたのがメスのアフリカゾウ「リリー」。リリーは2018年に繁殖のため仙台を離れ秋田県の大森山動物園へと引っ越しましたが、去年6月、6年ぶりに仙台へと帰ってきました。久しぶりの「友達」との再会でした。

屋内展示場の隣の部屋に帰ってきたリリーと触れ合い、仲睦まじい姿もみられたといいます。国内最高齢のアフリカゾウ、メスの「メアリー」とともに3頭で過ごす毎日。しかし、病は少しずつベンの体を蝕んでいきました。

2024年の年末頃から、ベンは体調のすぐれない日々が続き、今年6月、ベンの右足に腫瘍が見つかりました。大きな体のアフリカゾウにとって足の腫瘍は命に関わります。ベンの歩行はだんだんと遅くなり、ときに展示を中止しながら足を消毒するなど治療に専念する日々が続きました。園では公式サイトを通じてベンの近況を発信し続けてきましたが11月21日午前6時すぎ、ベンはついに立ち上がることが
できなくなりました。
飼育員は、懸命の介助や治療を続けましたが、6時間後の午後0時18分、ベンは天国へと旅立ちました。推定36歳、生存するオスのアフリカゾウでは国内で最年長でした。














