それはまるで刀の刃先でした

(杉中さん)
船首がかなり細長く、尖った形状が特長。先が尖ることで、波が起きにくくなり抵抗が減る」

文字通りに波を切る船首部分とあって、塗装される前の姿は、どこか日本刀の刃先のようにも見えます。
するとこの金属の模様は、さしずめ刀の刃文といったところでしょうか。

しかしアルミ合金製の船体を覆うこの模様、そもそも一体何なのでしょう。

(杉中さん)
「鉄に比べてアルミの方が溶接した時のひずみがかなり出る。どうしてもひずみは出るので、その部分はグラインダーで削って、表面を整ている」

削り出されたアルミ合金製の部材を組み合わせることで建造される船体、一面についた模様は、手作業による仕上げの痕跡を示すものでした。

(杉中さん)
「裏を見ると、これはまだ仮付けだが、溶接した箇所の反対側に、このようにひずみが出ている。なのでこれをグラインダーで仕上げる」