今月12日の夜遅く、長崎県佐世保市のマンションの一室が焼ける火事があり、男性1人が病院に搬送されました。火元とみられる部屋の住人は「モバイルバッテリーが爆発した。電源をつないだ状態で充電していた。見たときはコタツとソファが燃えていた」と話しており、充電中のトラブルが火災につながったとみられています。
今回の火災の原因は現在、調査中ですが、この「モバイルバッテリーを充電中に爆発的に燃え上がる」という現象は、決して特異な事例ではありません。急速に進化する充電技術の裏で、私たちが知らず知らずのうちに犯しているリスクはありませんか?
なぜ「消し止めきれなかった」のか?
リチウムイオン電池の火災は、一度火がつくと「爆発的」に燃え広がるのが特徴です。内部には可燃性の液体が入っており、ひとたび回路がショートして「熱暴走」という状態になると、連鎖的に熱とガスを放出し、激しい炎を噴き上げます。
今回の事例で、住人が火災に気づいた時にはすでに家具が燃えていたという状況は、モバイルバッテリー火災の恐ろしい特徴を如実に表しています。
要注意!「古いバッテリー」を「最新の急速充電器」で充電していませんか?
今回の火災の原因は調査中で、定かではありませんが、充電中の発火事故において、近年注意が必要とされているのが、「古い(または安価な)モバイルバッテリー」と「最新の急速充電器」の組み合わせです。
「大量の電気」が許容量を超えるリスク
近年のスマートフォンや充電器は、充電時間を短縮するために「USB PD(Power Delivery)」などの高出力な規格が主流となり、高い電圧・電流を一気に流すことができます。一方、数年前に購入した古いモバイルバッテリーや、一部の安価な製品は、こうした大電流の入力に対応していない設計のものがあります。
通常、製品には過剰な電気が流れないよう制御する回路が組み込まれていますが、経済産業省やNITE(製品評価技術基盤機構)などの注意喚起によると、経年劣化や製造上の不備により安全装置が正常に働かず、許容量を超えた電気が流れ込んで発熱・発火に至るケースがあるとしています。
東京消防庁の実験データでも、リチウムイオン電池に許容範囲を超える電流を流して急速充電を行った結果、開始から30分ほどで破裂し、大きな火柱が上がった事例が報告されています。
「差込口が合うから」というだけで、高出力のアダプタを安易に古いバッテリーに使用するのはリスクを伴う行為です。














