おこめ券「ノー」の自治体相次ぐ
しかし、ここにきて、大阪府交野市や箕面市をはじめ、奈良市、福岡市、北九州市、東京都江戸川区、豊島区など、続々と「おこめ券は配布しない」と表明する自治体が相次いでいます。
拒否反応の最大の理由が経費率の高さです。おこめ券は500円で券を買うと、440円分のコメが買える仕組みです。500円中60円、すなわち12%が、券の発行や流通にかかる手数料として、発行元のJA全農や全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)に入る仕組みなのです。券発行に伴う利益も上乗せされていると考えるのが普通です。これでは貴重な公金を、おこめ券発行団体に自動的に配っているようなものでしょう。各自治体の首長が市民の批判に耐えられないと考えても不思議ではありません。
デパート商品券は1万円の券を1万円で買うのが普通でしょう。そもそも商品券には販売促進効果が含まれているので、発行コストを消費者に転嫁などしないのです。百歩譲って発行手数料が必要だとしても、今の時代に12%などというのは、誰が考えても常識外れで、まさに「コメの世界の常識」が、「社会の非常識」を示しています。
対策用のおこめ券、手数料引き下げへ
こうした批判を受けて、発行団体の一つである全米販は、今回の経済対策用に自治体向けに販売するおこめ券は、通常より23円安い、477円で販売することを決めました。不思議なことに、12日に発表したのは鈴木農水大臣です。
477円の券を買うと440円分のコメが買えるので、発行手数料は37円となり、経費率は先の12%から7.8%に下がりました。JA全農も同様に、最小限の必要経費だけ加算した形で、券面価格を引き下げる方向です。
だったら、今までの12%もの「中抜き」は一体、何だったのか、と突っ込みたくなります。それでも7%超、十分高い手数料でしょう。消費者不在という、おこめ券の性格をはっきり示しています。














