『水谷なんで来てくれないの?お前の癌の進行か?アイも心配してる』
『違う。いいか?俺は教員だぞ。
教員の仕事は命にかえても大事な子供たちの明日を作る手伝いをすることであって、命にかえても大事な子供たちの死を看取るというのは、いくら“夜回り先生水谷修”でもきついんだよ』

『分かるよ、水谷。
でもアイちゃん、お前の書いた本、毎日泣きながら読んでる。
お前とうつった写真を、夜になると胸に抱きしめてやっとのことで眠っている。
アイちゃんの人生はもうあとわずか
しかないんだ。来てやってくれ』

『分かった。明日の朝一で行くとアイに伝えといてくれ。』

翌日、朝一で東京の病院まで行って、勇気を出してドアを開けて病室に入りました。

でもアイを一目見て、言葉にならなかった。
アイの枕元の丸いすに腰を落として、ベッドを歯で噛んで声を殺して泣きました。