“公明いじめ”の声も そもそも定数削減のメリットとは?

高柳キャスター:
定数削減で大きく損をすると見込まれている「公明党」ですが、自民党と立憲民主党の議員からは、このような声が上がっています。

自民 中堅議員
「小選挙区で強い自民や維新はいいが、あきらかな公明潰しだ。地元の公明から『ありえない』とめちゃくちゃ厳しく当たられた」

立憲 ベテラン議員
「『比例50議席削減』は維新の“公明いじめ”を自民に飲めと言っているような話だ。これが実現したら、公明は完全に自民党と対立することになるだろう」

公明党の斉藤代表は5日、「(比例区のみの削減について)多様性を排除し、少数の民意は切り捨てても構わないという考えで、民主主義の破壊に他ならない」と発言しています。

日比麻音子キャスター:
国民や有権者にとって、議員定数削減のメリットは何なのでしょうか。

「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
昭和の時代から“行革ブーム”というものがあり、「省庁や外郭団体を減らしなさい」といった中、国際比較は横に置き、「議員定数も多すぎるのではないか」という声が強くありました。

しかし、ここ10年ほどは、国民は議員定数で何とかすべきだとは思っていないと思います。それよりも重要な政治のテーマがいくつもあるのではないでしょうか。

維新は「身を切る改革」が1枚看板なわけですが、今の結果(JNNの独自分析)を見ると、「他所の身を切る改革」ではないかと感じます。

「他所」というのは、この場合でいう公明党や、あるいは参政党・保守党のように「0」になる見込みの点を含めてです。若い人の言葉でいえば“身を切る風改革”に感じます。

メリットという点で考えると、例えば議員歳費や経費は、日本の国の予算・財政赤字から見たら微々たるものにしかなりません。

それよりも幅広い政策に通じた議員を1人でも増やす方がマシだと思いますし、あるいは、新しい政党が参入するルートがあった方がいいと思います。国民の民意を幅広く吸い上げられるように、多様性のある主張を持った議員たちが待ってくれてる方がいいわけですから。

維新は「メリット」を説明しきれていないのではないかと思います。

日比キャスター:
女性議員の割合が増えない中で、定数が削減されるというのも心配です。

「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
男女の比率を決めて候補者を立てる「クオータ制」など、この際、そういったものを導入するなども含めて改革すべきだと思いますが、今はただ「数を減らせ」にとどまっているように感じます。

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<プロフィール>
本杉美樹
TBS報道局 選挙本部デスク
情勢分析のブレーン

堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説