「聴導犬?」初めて接する店員は戸惑いも

聴導犬はこうした訓練を経て、国の認定試験も受けていますが、ユーザーにはある悩みがあるといいます。

森岡見帆さん(51)
「私が気になっているお店があります。そこに行ってみようと思っています。何を言われるか分からないし、ちょっと不安があります」

過去に、聴導犬の同伴に難色を示された経験から、飲食店を訪れることにはためらいがあるといいます。

店員「わんちゃんダメです。盲導犬?」
森岡さん「(聴導犬の説明書きを店員に見せる)」
店員「盲導犬じゃなくて聴導犬?」
森岡さん「聴導犬と一緒に入っても大丈夫ですか?」
店員「お店でドリンクを飲むんですよね?」
森岡さん「そうです」
店員「じゃあ角のお席に」
森岡さん「いいの?ありがとうございます」「かなちゃんよかったね」

森岡見帆さん(51)
「入っていいかドキドキしました」

ーーお店の方の対応はいかがでしたか?
「素晴らしかったです。理解してくれる人が一人増えた。それが嬉しいです。勇気をいただきましたので、その気持ちを次につなげていこうと思います」

聴導犬といることで「聞こえない」が伝わる

喜入友浩キャスター:
取材時は遠目で、「(お店に)入れますように」と祈りながら見ていたので、入店できてよかったです。

接客にあたった店員さんは、やはり聴導犬に会ったのが初めてですごく戸惑ったそうです。ただ、会話をする中でどうしたらいいか見えてきたといいます。

上村彩子キャスター:
急なことでしたが、とっさの対応力が素晴らしかったですね。

私もこの企画を見るまで聴導犬について全く知りませんでした。もっと公共の場で目にする機会があれば、認知や理解が深まると思いますが、なぜ50頭しかいないのでしょうか。

喜入友浩キャスター:
当事者の中には、音という概念が分からない・感じられないという方が多いため、音を教えてくれる聴導犬の必要性が伝わりにくいという背景もあるそうです。

ただ、森岡さんは聴導犬がいて助かったことの一つに、一緒にいることで、相手に耳が聞こえないことが伝わることだと話していました。

上村彩子キャスター:
確かに、(聴導犬が)オレンジ色のベストを着ていて、分かりやすかったです。

喜入友浩キャスター:
森岡さんは、耳が聞こえない・聞こえにくい障害は、見た目では分かりにくく理解されづらいと話していました。そういう意味でも、聴導犬の存在は大きいと思います。

ただ、聴導犬がいる・いないに関わらず、「もしかしたら、耳が聞こえない・聞こえにくいかもしれない」という想像力を持つことは大事だと感じました。

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企画・取材・構成・ナレーション:喜入友浩(TBSアナウンサー)
カメラマン:出町紗希
VE・音声:有宗拓馬
編集:尾前隼士
監修:那須元紀
アシスタント:牧野風香