償いの本当の意味

深迫さんは現在、刑務所や少年院での講演活動も行っています。ある元受刑者から聞いた話が、活動の原動力となっています。

殺人で服役した男性がいました。東日本大震災の際、家族からの手紙が来なくなり、後に家族全員が津波で亡くなったことを知りました。その受刑者は精神的に追い詰められ、別室に移されました。

後に、その受刑者が語ったといいます。

「事件の時には本当に相手が悪いと思って俺は殺したんだけど、実際自分の身内が全部死んだら、こんな辛いことはない。自分は何てことをしたんだ」

一方、別の受刑者は遺族に償いたいと願いながらも、賠償金は受け取ってもらえず、墓参りも断られ続けていました。

「刑務所の中にいると、どうやったら自分は謝罪ができるのか、ずっと悩み続けている」と話していたといいます。

ある日、その受刑者は、新聞で遺族の記事をみつけました。
そこには「一度も謝罪をしていない、お金も送ってこない」と書かれていて、愕然としました。

「でも、自分がやったことはこういうことなんだ」と反省していました。「早く出て、遺族に謝りたい」と。