どうして北風で浅瀬まで貧酸素状態になるの?

通常は、寒くなるにつれて、南風と北風のバランスが徐々に変わることにより、貧酸素の水塊は混ざってなくなります。

しかし今年は、北風が続いたために、暖かい上の水が沖に押されて、冷たい下の水が貧酸素状態の塊のまま、カキが養殖されている浅いエリアまで押し寄せた。というわけです。

流域圏環境再生センター 山本民次所長
「風ってどうしようもないですからね。これコントロールできないので、何コントロールできるかというと、貧酸素をなるべく減らすということしか我々にはできない」

この「貧酸素水塊」は、海底のヘドロの中で微生物が有機物を分解する過程で発生した硫化水素が、海中の酸素を奪ってしまうためにうまれるもので、山本所長の調査では、高度成長期よりも今の方が高い頻度で発生しているということです。

Q.じゃあ、もうその今年みたいな状況が今後も生まれうる?
流域圏環境再生センター 山本民次所長
「うる、うる。生まれうる状態です。今回みたいな大きな被害じゃなくても、毎年貧酸素なので、エビ、カニ、貝、それからゴカイみたいな海底に住む生物はもう全滅してんですよ、はっきり言って」

山本所長は、海底のヘドロ内に溜まる硫化水素が、海水中の酸素を奪ってしまう前に、硫化水素を無害な硫酸イオンに換える焼いた牡蠣殻などによる取り組みで減らしていくしかない、と山本所長は話しています。