そして・・・刑場へ

松雄と一緒に死刑執行された榎本宗応の基礎データ

お勤めを終え、お供物の葡萄酒で気分がほぐれたころ、ついに一同は刑場へと向かう。

<わがいのち果てる日に 田嶋隆純>
それでも二十分はたちまち過ぎてしまう。私のO・Kの合図で一同外に出て行列を作る。私が一人一人に最後の握手をすれば、その手はバンドに固定されてもはや動かなくなる。行列は進み始める。先頭に死刑囚、次に私、以下前記立ち会いの人々、最後に担架を持った二人の兵隊が付き添ってくる。これは恐らく足の進まない死刑囚があった場合の用心と思われたが、もちろん誰一人その厄介になった人はなかった。