全国の動物園で「ハシビロコウ」が人気となり、グッズも「作れば売れる」と大盛況。人々の心をひきつけるワケとは?

動かないのに「ハシビロコウまっしぐら」

平日昼間の『上野動物園』(東京・台東区)。
多くの人がハシビロコウ目当てに集まり、カメラを向けています。

高さ1m20cmほどの大型の鳥【ハシビロコウ】は、ペリカンの仲間でアフリカ中東部の湿地帯や草原に生息。青みがかった灰色の羽根をもち、フラミンゴのような細くて長い脚。つぶらな瞳と巨大なくちばしが特徴です。

副園長兼教育普及課長・金子美香子さん:
「いろんな人気動物がいるが、“ハシビロコウまっしぐら”という人もいる。鳥ではダントツ1位」

そんな動物園のニュースター、ハシビロコウの別名は「動かない鳥」
野生ではエサの大型魚が目の前にくるまで数時間待ち続けるほどで、動物園で観察していても全然動かず。それなのになぜ見てしまうのか…?

「目がかわいい。ギャップ。イケメンだしかわいい」(小6女子)
「表情、動き、全部」(40代女性)
「目が合って『よく来たね』みたいな。ご利益ありそう」(40代女性)

中には、動かないから「写真が撮りやすい」とありがたがる人も。

「カタカタカタ…」くちばしで挨拶

お客さんがカメラを向けてもめったに動きませんが、心を許した飼育員の前では貴重な「動く姿」を見せてくれるといいます。

例えば、静岡の『掛川花鳥園』(掛川市)のアイドル、メスのハシビロコウ・ふたば(推定10歳)。
スマホをインカメラにして床に置くと、首をちょこんと傾けつぶらな瞳でのぞき込む様子が。「あなたは誰?」と見つめる姿が超キュートです。

島根の『松江フォーゲルパーク』(松江市)のブドウ(オス)は表情が豊か。

くちばしをめいいっぱい広げて大あくびをしたり、飼育員に向かってくちばしを小刻みに打ち鳴らします。

「カタカタカタカタ…」

これは、鳴き声の代わりにおこなう「クラッタリング」で、飼育員に挨拶をしているのだといいます。