この1年、大分県内で起きた出来事を12日からシリーズで振り返ります。「回顧2022」1回目は今年も相次いだ自然災害や防災への新たな取り組みについてお伝えします。
(八尋真梨絵記者)「午後4時過ぎの大分市中心部です。風と雨が強く吹きつけています」
9月の3連休を襲った台風14号。県内は激しい雨と風に見舞われ、各地で土砂崩れや浸水などの被害が相次ぎました。
(住民)「あんまり記憶にない。こんなに通れないほどゴミが打ちあがるということは。本当災難だわ」
佐伯市蒲江では観測史上最大となる最大瞬間風速50.4メートルを記録しました。
また、由布市湯布院町では宮川が氾濫。
(渡辺敬大記者)「こちら水浸しの状態が続いていて、泥が混じった水がくるぶし程の高さまであります」
(住民)「びっくりですね。本当に。雨風すごく強くて子どももいるので不安な一日でした」
大分県のまとめでは台風14号により11人が負傷。建物の被害は438件、農林水産業の被害は総額72億9000万円にのぼりました。
(糸永記者)「由布市の湯平温泉です。護岸がえぐられ、複数の家屋が崩壊しています」
この台風は由布市の湯平温泉にも大きな被害をもたらしました。
(湯平温泉観光協会・麻生幸次副会長)「なんじゃこりゃ。あんまりやな。いま言葉が見当たらない。ひどい」
2年前の7月豪雨で一家4人が亡くなった温泉街。過去の教訓をいかそうと今回初めて、高台にある旅館に避難住民を受け入れ、被害の拡大防止につながりました。
(湯平温泉観光協会・高橋弘喜会長)「(2年前の豪雨)のことがあるので、早めの避難の周知ができていた。(復興への)気持ちが上がっているときに心が折れてしまうけど、まだまだ頑張っていかないとという気持ちに切り替える」
一方、災害をもたらす大雨の要因となるのが線状降水帯です。これまで予測は困難とされてきましたが…
(斉藤鉄夫 国土交通大臣)「線状降水帯による大雨の可能性を『九州北部』など大まかな地域単位で半日前からお伝えいたします」
気象庁は今年6月から線状降水帯の予測情報の提供を開始。運用開始以降、大分を含む全国で13回発表されましたが、的中率はおよそ23パーセントと予測精度にはまだ課題があります。
(JNN取材団・武藤繁)「噴火警戒レベルが2に引き上げられた伽藍岳上空です。現在は煙が出ています」

7月、由布市と別府市にまたがる鶴見岳・伽藍岳の噴火警戒レベルが初めて「2」へと引き上げに…
(高橋宏明記者)「由布市の登山口では入り口が封鎖されていて、奥では入山を規制する掲示板が設置されています」
現地調査の結果、火山活動に異常は確認されず、19日後にレベルは1に引き下げられました。
(京都大学火山研究センター・大倉敬宏教授)「(噴火が)起こりうる場所である認識をしてほしい」
県内で最大震度5強を観測した1月の地震。
(住民)「すごく揺れて、壊れるかと思うくらい」「立っていられなくらい物が全部落ちて」
(伊東武紀記者)「水が2~3メートルの高さまで吹きあがっています」
大分市では水道管が破損して道路の冠水が相次ぎました。
(JNN記者団・山本徹)「地震のものと思われる亀裂が入っています」
レジャー施設の水族館うみたまご駐車場に多数の亀裂が入り、大分港西大分泊地では液状化現象も確認されました。
このほか、ブロック塀の倒壊や住宅の屋根被害などが発生。県内では地震による転倒で6人が重軽傷を負いました。
地震の震源地は日向灘でマグニチュードは6.6。あと0.2大きければ南海トラフ地震のおそれが高まっている場合に出される「臨時情報(調査中)」が発表される可能性もありました。
(大分大学CERD・小林祐司センター長)「臨時情報は100%ではないけれど、リスクは高まっていると捉えて、それをきっかけに備えを強化してほしい」
また、国は3月、南海トラフとは別に日向灘を震源とするマグニチュード8クラスの巨大地震が発生する可能性を新たに公表しました。
(京都大学 防災研究所宮崎観測所・山下裕亮助教)「マグニチュード8の巨大地震を含めて発表したということは、日向灘がそういう場所なんですよということを県民の皆さんが認識する必要がある」

今年も大きな被害と教訓をもたらした自然の脅威。日頃の備えの大切さを改めて考えさせられました。
